パ・リーグ首位のロッテが、対巨人への思いも込めて「日本生命セ・パ交流戦」を白星発進した。

吉井理人監督(58)は現役時代の苦い記憶に、先発西野勇士投手(32)も10年前の同じ交流戦開幕戦で勝利投手となれなかった相手に7回1失点で、それぞれリベンジ。8回登板の沢村拓一投手(35)も10年間在籍した古巣に2奪三振無失点と好投した。チームは今季最多の貯金11。06年以来3度目の交流戦制覇に向け、勢いは加速した。

   ◇   ◇   ◇

「原さんに満塁ホームランを打たれたのは覚えています」。吉井監督が指揮官としての対セ・リーグ初勝利を巨人から挙げた。34年前の89年10月26日。近鉄で背番号11を背負った巨人との日本シリーズ第5戦、7回裏2死満塁。若大将「4番」原辰徳に満塁弾を喫した記憶は鮮明に残るが「何もないです。やるのは選手。選手たちが出来ることをやってほしい。勝ったから調子に乗って出来ないことをしちゃうと、悪くなっちゃうので」と笑顔。リベンジの感情は抑え、選手に感謝した。7回1失点の西野にも「スライダーが良かったですね」。あの日、直球を6球続けて痛打された投球も頭に描き? 風も利用して直球と変化球を巧みに操った右腕をたたえた。

その西野にとっても、巨人は「ずっと勝ちたいと思っていた」相手だった。支配下登録初年度の13年に、同じ交流戦開幕の巨人戦で先発し5回3失点。チームは勝ったが勝利投手になれなかった。「小さい時から見ていた伝統あるチーム。僕みたいな(富山の)田舎の人は巨人戦を見るので、良い投球をする姿を見せられたら(支えてくれた人への)恩返しになる」。抑え、中継ぎとして活躍し、トミー・ジョン手術も乗り越えた今季は再び先発を直訴。10年以上の間隔が空いての交流戦白星は、松坂大輔以来2人目。6勝目でリーグ単独トップに立った。

古巣相手に初登板となった沢村も8回にマウンドに上がり、空振り三振で締めた。巨人から加入したポランコのパワーポーズでほえた。「どこが相手だろうと千葉ロッテのために投げていく姿勢は変わらない。今日は勝てて良かった。明日につながる」。仲間の思いも背負う投球は、元仲間を圧倒した。

投手陣が抑え、打者陣が少ない好機をものにして逃げ切る今季の勝ちパターンは交流戦でも継続。監督、コーチ、選手、スタッフ、2軍、ファン、みんなで戦うロッテの強さは、セ相手でも健在だ。【鎌田直秀】