4番争いが、熾烈(しれつ)になってきた。今季4度目の4番に座った日本ハム万波中正外野手(23)が、「日本生命セ・パ交流戦」のヤクルト戦で、昨年5月18日オリックス戦以来となる1試合2発を放ち、12球団最速で2桁本塁打に到達した。新庄剛志監督(50)はしばらく4番で固定することを明言。チームは交流戦白星発進で、5月の勝ち越しを決めた。

チーム一の飛ばし屋が、“村神様”の目の前で、12球団最速の10&11号をかっ飛ばした。1点を追う4回、万波は石川の初球を右翼へ。今季初となる逆方向への1発に「ちょっと自分でもびっくりするぐらい、うまく運べた1本でした」。6回には、フルカウントから決勝の11号ソロを左中間席へ運んだ。

試合前に、うれしい出来事があった。練習中にヤクルト村上から、バットを譲ってもらえないか頼まれた。相手は1学年上ながら日本を代表するスーパースターだ。そんな人が、自分のバットに興味を持ってくれるなんて-。「びっくりした。うれしくないですか?」。“村神様”にマイ・バットを“奉納”した効果か? 昨年5月18日オリックス戦以来の1試合2発で、チームを交流戦白星発進に導いた。

この日、2本塁打を含む3打数3安打1四球。12球団最速の2桁本塁打到達に「超驚いています」と照れたが、ド派手なアーチだけでなく、しっかりとボール球を見極めたところに成長の跡がある。新庄監督は「選球眼がいい。去年とは全く違う」と進化を認めた上で「少しの間、4番で固定します」と宣言。「ちょっと落ちた時期があったけど、自分で修正したところが成長」と、サプリメントを摂取するなど工夫しながら、5月の疲労のピークを乗り越えた姿も評価した。

本塁打数で12球団単独トップに立ち、お立ち台で「交流戦でホームラン10本、目指します」と本拠地のファンに約束した背番号66。「(ランキング表を)スクショしておきます」と謙遜しつつ「シーズンを通して、ジェイ(野村)と4番を争って行けたら」と、開幕戦で4番を張った高卒同期入団のライバルに宣戦布告した。【中島宙恵】

◆日本ハムの今季4番 開幕で座った野村が最多40試合に出場。4番に限れば打率2割3分5厘、4本塁打。万波が4試合で続き、この日の2本塁打を含め13打数7安打7打点、打率5割3分8厘。マルティネスが3試合で打率2割5分、0本塁打。松本剛とハンソンが1試合ずつ。

■田中正義8セーブ目

田中正が今季8セーブ目をマークした。サヨナラ負けを喫した28日楽天戦では同点の9回に追いつかれ、敗戦につながった。この日も9回2死一、三塁のピンチを招いたが、「後がないと思っていたので、無心で、気持ちで行くしかないと思った」と、悔しさを原動力に自らを奮い立たせた。前回登板ではなかった笑顔を見せながらの投球に、新庄監督は「上がった時から笑顔があったんで、大丈夫かなと思って」とたたえた。

■河野、誕生日に好投

河野が25歳の誕生日に今季5ホールド目を挙げた。リードを奪った後の7回を無失点に抑え、勝利を引き寄せた。前日に家族に祝ってもらったといい、「いい時間を過ごせた」と、家族の応援を力に変えてつかんだホールドだった。「チームも(交流戦を)いいスタートを切れたし、自分も大事なところで投げさせてもらっているので、任されたところで必死に投げたい」と意気込んだ。

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