巨人戸郷翔征投手(24)が、「不滅の大投手」に肩を並べた。阪神戦で史上89人目(101度目)のノーヒットノーランを達成。巨人の投手が阪神戦でノーヒットノーランを達成するのは、1リーグ時代の36年9月25日と37年5月1日に記録した沢村栄治以来、87年ぶり2人目。戸郷は123球を投げ、許した走者は2失策と四球による3人で、5三振を奪った。歴史的な快投でチームの連敗を4で止め、今季甲子園初勝利を飾った。

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顔色を変えず淡々と投げ抜いた。虎の大歓声が響き渡るマウンドを戸郷が制圧した。9回2死二塁。カウント1-2から低めフォークで中野を空振り三振に仕留めた。初めて破顔した。「1-0だったからこそ集中力がもっと増した。言葉ではいい表せない感動もあり、今までやってきたことが間違えじゃなかったんだな」。今までにない興奮、そして達成感に包まれた。

舞台は昨季は3勝10敗、今季も2敗1分けだった甲子園。負のデータをはね返し、球団では沢村栄治以来、87年ぶりの伝統の一戦でのノーヒットノーランだった。「甲子園でできたのはすごく縁を感じる。たくさんの野球人が喜ぶような戦いを毎回見せたい。偉大な先輩方に多少、肩を並べることはできたかなと思いますし、まだ僕の野球人生は続く。もっといろんな記録に挑戦したい」と先を見据えた。

伝統球団エースの系譜を継ぎ、チーム全体を見渡す。空き時間にチームメートの試合映像をiPadで見るのが日課。1軍はもちろん背番号3ケタの育成の3軍選手までチェックする。「普通ですけどね。飯食っている感覚」と笑う。貪欲に自らの成長のヒントを探しながら別の意味も含まれる。

「もし、その子と話した時に、何かためになることを言えればいいなと。ただ自分の野球の理論を話すのは簡単だけど、その選手にあったものを見つけるのはすごい難しい。僕らの言葉ってすごい重いかもしれないから。細かいところまで話せるように」。24歳で投手陣の柱を担う。重圧と向き合い、強い自覚で野球道を追求してきた。

自身の経験に由来する。1軍で駆け出しの頃、よく菅野から「あの時はどうだった?」と細かく具体的に聞かれた。交わした深い野球談議の1つ1つが進化の道しるべとなった。「菅野さんは休みの日でも見てくれてるから、そういう会話ができるんだなと僕は思っている。そんな生きた経験がありますから」。エース、リーダーとしての立ち振る舞いを自然と吸収した。

歴史的な投球でチームの連敗も4で止め、自身4勝目。「たくさんお肉を食べて回復に充てたい。でもお酒は飲まないんじゃないかな。シーズン終わった時に余韻に浸りながら飲みたいな」と少しの余韻に浸りつつ、まだ満足はできない。秋に最高の勝利の美酒を浴びる。【上田悠太】

▽巨人杉内投手チーフコーチ(無安打無得点投球の戸郷について)「初回から気持ち、気合が入っていた。まさか1本も打たれないとは。僕が達成した時は2点あったが、戸郷は1点。走者1人が同点の走者になる。僕よりも緊張する状況で、しかもビジター。重圧の中、よく抑えてくれた」

【阪神】巨人戸郷にノーノー許す 巨人戦では沢村栄治以来87年ぶり 先発及川は好投も緊急降板