阪神中野拓夢内野手(28)が駆け引きに勝った。
0-0の3回2死一、三塁。追い込まれてから菅野の内角150キロ、外角151キロといずれもボール球の直球を見極めた。「真っすぐの外ボールを見た時点で、インコースのカットボールが来るかな、と」。捉えたのは135キロスライダー。横変化はイメージできていた。右前適時打で先制。「まさかあの1点が勝負点になるとは」。1-0勝利のV打に本音も漏れた。
「自分で勝負に来る、という気持ちだった」。前の打者近本は好調。四球で自らとの勝負を選択すると思っていたから「覚悟はしていた」。結果的には左前打で先輩がチャンスを拡大。そして、打率3割5分9厘の「菅野キラー」が打ち破った。岡田監督からも「1点勝負みたいな感じだったけど、中野がよく打ちましたね」とたたえられた。
前日21日。横浜スタジアムを出ると観戦を終えた親子が歩いてきた。シャツに着替え帰り支度を整えていた中、嫌な顔一つせず笑顔を振りまいた。どこまでもファンを大切にする。
2月の沖縄でもそうだった。キャンプ期間、全体練習の1時間以上前からサブグラウンドでランニングするのが日課だった。汗だくのまま当たり前のように10分以上もサインに応じ続けた。「せっかく沖縄まで来てくれたんですから」。あえてイヤホンもしない。「声をかけてくれた時に無視にならないように」。そんな男だから愛される。
決勝打も「球場が一体になったすごい声援」が後押ししてくれた。お立ち台では「ファンの皆さんの力があってこそ良い試合ができる」と感謝を込めた。
初回無死二塁の守りでは浅野の犠打に1度は一塁ベースカバーに入ったものの、素早く二塁へ向かいダブルプレーを完成させた。2回2死一、二塁では小林の強烈な打球を体で止めた。「もうほんとに、逆転で優勝するっていう気持ちしか持っていない」。さあ、天王山第2ラウンドへ。やはり選手会長は攻守に欠かせない。【中野椋】



