3月28日の開幕戦でスタメンで起用された西武の元山飛優内野手(26)が、4月27日にようやく今季初ヒットを放った。

4回の第2打席、初球の外角チェンジアップを振りに行く。しぶとく一二塁間を抜いた。ベースを踏んで、腹の前で凝縮のガッツポーズ。20打席目でのようやくの「H」ランプだ。

「僕の開幕はまだですか?」

いつしか唐突に尋ねられた。特に4月17日までは四死球も犠打も三振もない、全てバットに当たってのアウト。

その4月17日、オリックス戦(京セラドーム大阪)は惜しかった。痛烈なライナーを、相手の一塁手にうまくダイレクトキャッチされた。走り出して2、3歩後にはもう、アウトが決まっていた。

元山はその場で立ち尽くした。「最悪…」。当然、判定が覆らないのは知っている。その直後だ。

立ち尽くした元山が2歩、3歩と、一塁ベースの方向へ小股で進んだ。そしてベンチへ引き返した。

なんでヒットにならないんだ、そろそろ一塁を踏ませてくれ-。そんな感情がにじみ出る、とても人間くさい行動だった。

「あの時、まじでなんか、信じれんかったです」

スタメン起用も減る。「このまま打てなかったら…」と焦り出す。

壮絶な敗戦を喫した25日のオリックス戦(ベルーナドーム)の試合後、夜10時半近く。元山は1人で室内練習場へ行った。

「いろんなフォームを試してみたんです。でも分からなくなって…」

長いようで短い夜。デーゲームの翌朝は7時半には球場に来てウエートトレをこなし、9時前にはまた室内練習場で1人で打ち始めた。

「金子さん」と記者に声をかけ「正面から動画、撮っていただけませんか?」と頼んできた。

1分少々で5つか6つのスイング。打球は全て鋭い。腰かけて食い入るようにスマホ動画を見る。

「昨日の夜、ちょっと思ったんです。右肩を入れすぎると、ダメな当たりが多いかなって。両肩を平行に動かしてみようと」

そうこうしているとリハビリ中の岸潤一郎外野手(28)が声をかけてきた。

「飛優、オープン戦であんなに打ちまくってたのにどうしちゃったんだよ。とにかく1本出るといいな。今日、まずは1本。頑張れよ。開幕しようぜ」

誰も見ていないところでも悩み、もがき抜いた、背番号と同じ30日間。

見事にバントを決めてサヨナラ機をお膳立てし、ヒーローの中村剛也内野手(41)に水をぶっかけて春満開になった。【金子真仁】

【関連記事】西武ニュース一覧