阪神4年目の中川勇斗捕手(21)がプロ2号もバンテリンドームでかっ飛ばした。

7番左翼で出場し、3回の第1打席で中日先発大野から左翼へ先制ソロ。8月のプロ1号も同球場で金丸から放っており、広くて最も本塁打が出にくいとされる球場で存在感を発揮した。愛知・小牧市出身、推定年俸540万円の若虎が、同1億2000万円実績左腕を撃って故郷に錦。逆転負けで優勝マジックは6のまま、最短優勝は6日にずれたが、独走優勝に突き進む虎は新戦力の宝庫だ。

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白球はあっという間に左翼フェンスを越えた。低空飛行気味の鋭い打球。中川のプロ2号は満員の阪神ファンの前に飛び込んだ。

「しっかり振れて、自分のスイングができました」

11試合ぶりに7番左翼で先発出場。3回先頭の第1打席だった。先発大野の甘い134キロカットボール。強振して先制ソロを決めた。

自主トレをともにしたDeNA牧が「天才系」と評する172センチのコンパクトボディーには、夢が詰まっている。8月7日のプロ1号も同じバンテリンドーム、同じく左腕のドラフト1位金丸撃ちだった。同球場は球界最大級の広さで、最も本塁打が出にくいとされる。推定年俸540万円の愛知・小牧市出身の星が、推定年俸1・2億円、通算95勝のノーヒッターを打ち、地元に錦を飾った。

7月16日に今季2度目の昇格を果たしてから1軍同行を続ける。大きな気づきは球場に着くと、すでに体を動かしている先輩選手たちがいたことだった。「若い僕はもっとやらないと」。1軍最年少の21歳は、生き抜く決意を新たにした。

「とにかく練習量を増やした。練習しないと絶対にうまくならない。やっぱりそこは一番大事だなと」

全体練習前の振り込みを増やし、試合後もバットを手に寮に併設する室内練習場へ。夜な夜な1人で打撃練習を続けた。「1人でできる時間。自分は1人で練習したい派。その方が自分の世界に入れる」。地道な努力が1発を生んだ。

苦さも味わった。ともにビハインドの6回2死三塁は右飛、8回1死満塁は三ゴロ併殺。「チャンスで打てなかった。本当に悔しい」とくちびるをかんだ。「試合に勝ちたいという思い」。プロ初本塁打の試合も敗戦。次こそは勝利の一撃を見舞う。

前夜は昨季まで主に守備固めだった熊谷が、大卒8年目でプロ初本塁打。この日は中川がスタメン起用に応えた。藤川監督は中川に「酸いも甘いも経験しながら。また明日からどんな姿を見せてくれるか」と改めて期待を込めた。試合は逆転負けで優勝マジックは6のまま、最短優勝も6日にずれ込んだ。だが藤川阪神は敗れても強さを感じさせる新戦力の宝庫。だからセ界を独走できる。【塚本光】

◆中川勇斗(なかがわ・はやと)2004年(平16)1月27日生まれ、愛知県小牧市出身。味岡小1年時に野球を始め、味岡中では愛知尾州ボーイズでプレー。京都国際3年春夏の甲子園に出場し、夏は2本塁打で4強。高校通算18本塁打。21年ドラフト7位で阪神入団。4年目の今季1軍初出場。5月6日の巨人戦(東京ドーム)で初安打。捕手登録だが1軍での出場は全て外野。今季推定年俸540万円。172センチ、75キロ。右投げ右打ち。