声なき冬が始まる。西武の2軍本拠地カーミニークフィールドに隣接する室内練習場が12月1日から、改修工事に入る。

改修前の最終日となった11月30日、黒田将矢投手(21)は室内ブルペンで“投げ納め”を行った。

「まずは4年間お世話になりました、という感じですね」

直球にフォーク、今季多く使ったスライダーを投げ分け、最後は今季155キロもマークした角度ある直球でズバッと締めた。

下北半島にある青森・むつ市出身。八戸工大一を卒業し、西武入りして4年間を終えた。時に歯を食いしばりながら苦楽をともにした室内練習場は長い工事を経て、来春には冷暖房完備になる。「冬は寒くて夏は暑かったんで…進化されてしまうので、少し寂しい気持ちはあります」と“別れ”をしのんだ。

長い鍛錬の日々を経て、今季は開幕1軍入りした。しかし結局は8試合登板のみ。防御率5・68。「2アウトから四球2つとか。点の取られ方がダメでした。1試合1試合、1つ1つのアウトで人生変わっていく立場なので」。後輩右腕の山田陽翔投手(21)がリリーバーとしてチャンスをつかみ取った一方、自身は-。そこは自覚している。

フォームに工夫を加えながら、秋は突き詰めてやってきた。「ライバルは多いですけれど、そこに向かっていく気持ちで」と確固たる居場所をつかみに行く、プロ5年目の来季。

むつへはなかなか帰れない。「いろいろな場所で練習とかトレーニングをやることも多いですしね」。そう言いながら津軽海峡の対岸、北海道・函館出身の育成左腕、川下将勲投手(20)と汗を流す。

細身の川下も「雪は降ってないみたいですけど、霜はもう張ってるみたいですね」と故郷を思いながら、勢いよく投げ込む。「ウエートの成果が出てきました」。145キロを記録するようになったキレ味豊かな球速は、この先への大きな期待を抱かせる。

くしくも津軽海峡コンビで投げ納めた、室内練習場の最終日。この時期は少し冷え込んでも、チームメート同士がともに高め合う活気とぬくもりがある。朝や夜の静寂の中、明るい未来を夢見て励む若獅子たちがいる。

変わりゆくチーム同様、取り巻く環境も未来へ。「もっと快適になる分、もっといっぱい練習しなきゃダメですね」という黒田は「今日は一緒に映りましょうよ」と、奥田昇大ブルペン捕手(28)を写真に誘った。いつもありがとうございます-。北国はしばれるけれど、あたたかい。【金子真仁】

【関連記事】西武ニュース一覧