日刊スポーツの阪神担当が、チームや選手に独自の目線で迫る「猛虎リポート」。今回は石黒佑弥投手(24)です。3年目で初の開幕1軍をつかむも4試合目まではチーム事情でベンチ外。それでも5戦目の1日DeNA戦(京セラドーム大阪)で初めてベンチ入りすると、3者連続三振を含む2回無安打4三振、無失点の圧巻投球で強烈な輝きを放ちました。“その時”を待って快投した右腕に心境を聞きました。【只松憲】

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石黒は常に冷静だった。プロ3年目で初の開幕1軍をつかんだが、3月27日の巨人戦はベンチメンバーから外れた。チーム事情と同時に立場も理解していた。表情を変えずに振り返る。「立場的に見ても自分が絶対にメンバーに入るっていう立ち位置でもなかったですし、力も他の選手と比べたら全然自分は一番下なので。外れるのは『自分かな』とは薄々思っていました」。ショックではない。「ベストはチームが勝つこと。しっかりサポートに」。思考を即座に切り替えた。

来たるべき瞬間に備え、感情のコントロールも工夫した。「あぁ~すげぇ」。東京ドームで行われたオープニングセレモニーでは、あえて観客と同じ視点で見入った。自ら緊張感を高めて調整する方法もあったが「緊張するとあまり良くない傾向にある。マイナスの方向に考えてしまうこともある。そうじゃなくて、リラックス。『自分にはできる』と言い聞かせながら試合に臨むといい結果が出る。そういう感じでやってました」。開幕4試合目までベンチ入りを外れたが、同じ心境を保った。

意図のある行動が快投につながった。初めてベンチ入りした開幕5戦目の1日DeNA戦(京セラドーム大阪)は、圧巻の3者連続三振を含む2回無安打4三振、無失点。敗戦のなか、好リリーフで存在感を示した。「いざ試合のメンバーに入った時はやっぱり『やってやろう』じゃないですけど、投げるのが楽しみでしたね」。ため込んでいた投球意欲を一気に解放。愛知・星城、JR西日本時代から「準備は大事」と言われ続け「いつでも行けるようにとずっと思っていました」と振り返った。

23年ドラフト5位で入団。通算12試合登板で、0勝0敗、1ホールド、防御率4・05。虎自慢のブルペン陣に強力なピースが加わった。「まだまだ成長しないといけない選手ですので、うまく体と向き合いながらという感じです」。今季のブレーク候補が楽しみだ。