素直なDeNAドラフト4位の片山皓心投手(27=Honda)が高校時代に唯一受け入れなかった言葉がある。日立一(茨城)時代の恩師・中山顕さん(55=現那珂湊高職員)は「いくら『お前には可能性がある』と言っても真に受けていなかった」と苦笑いする。

まさに“一目ぼれ”だった。「今日来た中では君が一番だな」。部活動体験に訪れた中学3年の片山の投球を見て声をかけた。スピードやコントロールが秀でていたわけではないが「柔らかいフォームから投じる打者の手元まで糸を引くボール」にひかれた。

入部してからも「プロを目指せるぞ」と何度も伝えたが、片山は「プロっていう目標すら持ってないのに、何を言ってるんだろうって思ってました」と回顧。恩師の評価と自己評価にはズレがあった。

桐蔭横浜大を経て、ホンダに入社。本格的にプロを目指し始めたが、21年12月に左ひじを手術した。その年の末、母校を訪れ「プロに行きます」と日立一の後輩たちの前で宣言。自分にプレッシャーをかけるため、言葉にすれば責任も生まれるという思いからだった。

高校3年間はどこか人ごとのように聞いていた「プロ入り」を公言するまでに成長。中山さんは「大学、社会人と野球を通じて良い経験をして、いい人にも巡り合えたんだろうな」と教え子の姿に胸が熱くなった。

この日のプロ初勝利はスタンドから見届けた。「プロの第1歩を踏み出せたことはすごくうれしいし、誇りに思う。プロ野球選手の片山皓心として応援してもらえる選手になってもらえたらこの上ない喜びです」と中山さん。“有言実行”で夢をつかんだ「素直な努力家」が、プロとしての歩みを進めた。【山本佳央】

【DeNA】ルーキー片山皓心が5回1失点でプロ初勝利 苦い記憶をプラスに変えて「慌てずに」