ロッテ角中勝也外野手(39)が今季限りで現役引退することが19日、分かった。数日前に、球団に意思を伝えた。首位打者に2度、最多安打に1度、輝いた希代のバットマンがユニホームを脱ぐ。20日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)のあと、自らの口でファンに報告する。
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去年の秋、2軍戦で所沢のカーミニークフィールドを訪れた。すごくしんどそうな顔で階段を上りきった角中と目が合うと「ちわ~っす」と、久しぶりなのに感慨深さもなく普段着で接してくる。駆け引きは不要だ。「まだ引退しないでしょ?」と尋ねた。
「今年はないっすよ。でもね、目がだいぶ落ちました。反応が遅いっす」
今や数少ない「真のプロ野球選手」の1人と思う。「自分、普段言ってることはほとんどピーですからね」と自主規制を自覚する。チームがサヨナラ勝利しても、本筋とは無関係の益田と水をぶっかけ合っている姿は、パテレで殿堂入りしても不思議でない。
いろいろと際どいからこそ映えるのが“角中節”だ。21年5月のこと。ヘルメットの内側にペンでメモ書きしまくっているのを見かけた。
「背番号1のマネをしました」
背番号1、つまり球団ルールを破って無期限謹慎中だった清田育宏選手(その後契約解除で、現在はBCリーグ武蔵の監督)のマネをしたとし、その場にいた報道陣と、球団広報の表情を凍り付かせた。
「自分、忘れっぽいんで。打席に行く前にメモを見て、忘れないように。1番がヘルメットにいろいろ書いてたんすよ。『これ、いいな』と思って1番のマネするようになって。すごく役立ってます。だから、1番のおかげです」
報道陣は記事にするのを自主規制してしまった。でもこの言葉が世に出ていたら、当時は孤独でしかなかった清田氏に、どれほどの勇気になったことか。
鍛えられているのか、しっかり「話せる」プロ野球選手が増えた。一方で、決して悪いことではないが、いわゆる優等生コメントが増えたのも、また確かといえる。臆せずに本質に切り込んでいく角中は、とても魅力的な人だ。ずっと優勝したがっていたが、目的は「優勝じゃなくて、優勝旅行したいので」と分かりやすかった。
きっとある引退試合もラストスピーチも、無難じゃ済まないだろう。いやいや、無難に締めるくらいなら引退を撤回してほしい。【20~22年ロッテ担当=金子真仁】



