西武斎藤佳紳投手(23)は登板イニングを間違えたのか。9回1イニングを三者凡退に。3アウト目を取ると、悠々とベンチへ戻ろうとした。「ハッ」と気付き、マウンドでの輪が笑顔とともに生まれた。

とてもうれしそうだ。「テンポ良かった、ってコーチにも言っていただいて」。入団時にすでに妻子がいることでも話題になった昨秋育成ドラフト2位右腕は、球団関係者から「テンポ遅め」との声も挙がっていた。本人も自覚していたようで、だからこそうれしそうだ。

四国IL徳島から夢を追ってNPBの世界へ。最初はリリーフのつもりでいたが「先発で、みたいな感じになって」。春先は3軍で先発する機会も多かったが、美唄での2試合はいずれも最後1イニングだ。自分では決められないことも多い大人の世界。プロ2年目の来季、どこでどう輝いていくのか。

ただ本人が心配しても、力はしっかり出せている。この日の直球は最速151キロ。フォークで空振り三振も奪った。「自分でも『今のいい球だな』と感じられる球がありました」と手応えを増している。支配下登録期限が迫る7月下旬、教えと感覚の一致が一気に高まったという。

なお登板前の試合序盤はスプレーを持って、プシュプシュやっていた。「今の美唄、なんかアブが多いんですよ。かまれた人もちょっといて」。アブ予防担当に抜てきされ、責務を果たそうと全力を尽くした。

アブ退治が終われば、観客も通る動線付近でたくましくアップを行い、登板や試合が終わった後には少年野球教室で、まるで投手コーチのような安心感ある、子どもたちへのほめ方。対応力の高さは頼もしい。【金子真仁】

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