見慣れたはずの景色が、どこか違った。巨人小笠原慎之介投手(28)がかつて本拠地として戦ったバンテリンドームに帰ってきた。マウンドの土を踏むと、硬くなったような気がする。外野を見渡せば、ホームランウイングが設置されている。最後に登板してから約2年。知らない景色が増えていた。
なにより違うのは、着ているユニホーム、向かうベンチ、そしてファンの声援だ。右翼席から聞こえていた「小笠原」コールは、ブーイングに変わった。「一つの歓声として」と、平然と受け止めた。
マウンドに立てば、やることは変わらない。相手は8年間ともに戦った中日柳。「ロースコアになることは、頭の中にも入っていた。目の前のアウトを一つずつ取るだけだった」。初回からフルスロットルだった。日本球界復帰後最速となる150キロも計測。2死一、二塁で石川昂に内角へ力強い直球を決め、見逃し三振。ピンチを脱し、ドームに雄たけびを響かせた。
復帰後最長に並ぶ7回を投げきり、8奪三振無失点。同球場では、中日時代の24年8月9日以来、737日ぶりの白星を手にした。「僕からしたら、アウェーに変わったので。また新しい球場として臨みました」。9年間過ごした名古屋の地。今度は敵地として駆け抜けた。【北村健龍】



