来年3月の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の「WBC体制検討会議」に出席した楽天野村克也監督(73)が17日、検討会議に疑問を呈した。15日に都内ホテルで王貞治コミッショナー特別顧問(68)北京五輪監督の星野仙一氏(61)らとWBCの監督問題を話し合ったが、議論するまでもなく、星野氏の監督就任が既定路線のような会議に「出来レースなんじゃないの」と、しらけムード。今月末に2回目の同会議が開かれる予定だが、今後のノムさんの発言が注目される。

 秋季練習初日でKスタ宮城に姿を見せた野村監督がこの日、15日の「WBC体制検討会議」の模様を振り返った。会議には王氏、星野氏のほかにヤクルト高田監督、野村謙二郎氏らが出席。WBC監督問題を協議したが、北京五輪で代表監督を務めた星野氏が就任するような流れに、野村監督は「王も『現役監督は難しい。星野がいい』って言っていたかな」と明かした。

 会議の中で「WBC監督=星野氏」の雰囲気が出来上がっていたことを示した形だった。検討会議について「出来レースなんじゃないの」と、しらけた口調で言った。協議する「検討会議」とは名ばかりで、人選の結論はすでに出ていたと言わんばかりだった。選手で歴代1位の3017試合、監督で歴代3位の3060試合。数々の勝負の中で相手の行動、心理を読んできた野村監督は「出来レース」と感じていた。

 「オレが出る必要があるのかな」。場違いな違和感すら覚えたという。“球界のご意見番”として呼ばれたはずなのに、不完全燃焼に終わってトーンダウンした様子だ。「監督だけは早めに決めといた方がいいんじゃないかと言ったけど、あとは、ほとんど話していない。(発言は)野村謙二郎が全体の7割で王が1割。コミッショナーが0・5割。野村謙二郎は話すのが好きなんだな」と舞台裏も明かした。

 ひそかに期待していたノムさん自身のWBC監督就任には、「ひとっ言もでなかったよ。ひとっ言も」と話題に上らなかった。星野氏案が大勢の中、「王がやればいい。WBC監督の経験もあるし、連覇目指してな」と意見したという。

 15日、会場にいた球団関係者は「あの日は機嫌が悪かった」と話す。会議後はテレビが野村監督の談話を期待していたが、「話すことはないよ。王が話す」と拒んだ。足早に会場を後にした背景には、その会議そのものへの疑問を感じていたようだ。

 チームはこの日から秋季練習をスタートさせた。練習前には内野で全員が円陣を組んで、中心に立った野村監督が約7分間、来季へゲキを飛ばした。「こっち(楽天)のことで頭がいっぱいなんだ。補強も思うようにいかない」。WBC監督問題どころではない事情も抱えるだけに、時間はムダにできない。今月末に2回目検討会議が開催される予定だが、「(加藤)コミッショナーから直接依頼されたからな。断るわけにもいかん」と、出席する意向は示した。既定路線のように感じている星野WBC監督で進んだ場合、ノムさんの反応が注目される。【金子航】