<阪神5-0中日>◇4日◇甲子園

 青く澄み渡った秋空に白いアーチをかけた。3回先頭の第1打席、カウント1-0からの2球目。桜井広大外野手(26)は中田が投じた内角低めの145キロ直球をはじき返した。高く舞い上がった白球は左中間スタンドに着弾。先制の12号ソロで、本拠地最終戦に詰めかけた4万6853人を熱狂させた。

 桜井

 上がりすぎたのでどうかなと。少し(バットの)先でしたけど、満員のファンの歓声がスタンドまで運んでくれたと思います。

 進化を証明する1発だ。これまで変化球を得意とする一方で、直球に振り遅れるタイプだった。しかしこの打席は初球からスイングしてファウル。直球に近いカットボールにタイミングが合っていた。そして続く直球を仕留めた。和田打撃コーチは「初球から振っていったのが成長したところ。粘り強さは持っている選手だが、思い切りのよさも出た。(今は)真っすぐにタイミングを合わせて振れる」と評価。桜井をレギュラー固定した真弓監督も「打席で自分のスイングができている。どういう球でも対応できている」と成長を認めた。

 大先輩にささげる1発でもあった。この日はPL学園の先輩、中日立浪の甲子園ラストゲームだった。試合前には、歴代7位の2480安打を誇る偉大なバットマンに駆け寄り、握手を求めた。「打撃のアドバイスをいただいたこともあった。ちゃんと(後輩として)見ていただいていたんだなあと思う」。試合後のセレモニーでは、その背中を目に焼きつけた。「尊敬する先輩というか…。ああいう選手になれるように頑張りたい」としみじみとした口調で言った。

 今季は本拠地で打率3割7分7厘、4本塁打、14打点と躍動した。それでも7回無死一、二塁で二ゴロに倒れた場面を「次のチャンスでもう1本打ちたかったですね」と悔しがった。絶好調の桜井が残り3試合でも爆発して、CSへのアーチをかける。

 [2009年10月5日11時42分

 紙面から]ソーシャルブックマーク