<中日3-1広島>◇1日◇ナゴヤドーム

 中日が球団タイ記録となる今季11度目のサヨナラ勝ちを飾った。延長10回、プロ4年目の岩崎達郎内野手(25)が、プロ1号となるサヨナラ2ランを左翼スタンドにたたき込んだ。犠牲バント要員でありながら、8回には送りバントを失敗。伏兵の汚名返上の1発で、激しさを増す優勝争いに踏みとどまった。

 延長10回1死二塁、中日岩崎達は広島大島の変化球を完ぺきにとらえた。打球は前進守備の左翼頭上へ。無我夢中で走った。二塁を回って、ようやく本塁打だと分かった。プロ1号2ランが人生初のサヨナラ本塁打。「何が起きたのかわからなかった。スタンドに入ったのもわからなかった」。興奮気味に振り返った。

 まさに地獄から天国だった。1点を追う8回、無死一塁から代打で起用された。任務は送りバント。だが、ファウル2球で追い込まれ、最後は三振。それでも2死から荒木が同点打を放ったことで、延長戦で汚名返上のチャンスが回ってきた。「何とかしてやろうという気持ちだけでした」。過去3年間は打率1割3厘、0本塁打。出番は守備固めや代走。そんな脇役が大仕事をやってのけた。

 「きょうは岩崎を書いてやってくれや。あそこ(延長10回)は代打がいなかったんだ。他に(選手が)いたら代打を出していたかもわからない。そういう運は持っているんだろうな」。落合監督は笑みを浮かべ、バント失敗の岩崎達を打席に立たせた理由を明かした。8月31日は大勝にもかかわらず、ミスの続出に激怒したが、この夜はヒーローの強運をたたえた。

 試合前、内野ノックの打球が岩崎達の左目付近を直撃した。まぶたが真っ青に腫れ上がったが、「きょうは当たり日なんでしょうね」と前向きに話していた。そんな予感が最高の形で現実となった。苦しいときに伏兵が現れ、首位阪神とは2・5差、2位巨人とは1差。オレ竜が虎視眈々(たんたん)と逆転Vを狙う。【鈴木忠平】

 [2010年9月2日8時26分

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