<オリックス2-1楽天>◇5日◇京セラドーム大阪

 予感しとったんや…。岡田オリックスが球団初の3戦連続サヨナラ勝ちだ。9回無死二塁からT-岡田外野手(23)の二塁打で同点とし、ここで代走森山をサヨナラ要員として投入。無死一、二塁で「お前で決めてこい」の殺し文句をもらった赤田将吾外野手(30)が決めた。4連勝で貯金は今季最多の3。岡田彰布監督(53)はオリックス通算100勝となった。

 どや顔でも唇が震えていた。3戦連続サヨナラ勝利。岡田監督の「当たり前やん口調」は興奮でいつもより高速バージョンだった。

 「3番からやし、おとといと一緒や思った。後藤の“二塁打”である程度、な。最低でも同点いくかな思うたよ」。

 9回に先頭後藤が左前打と敵失で二塁に進み、T-岡田が左翼フェンス直撃の同点二塁打。ここで2戦続けてサヨナラのホームを踏んだ代走森山を投入した。代打李承■が敬遠されると赤田をベンチに呼び戻した。「バントのサイン出さんからお前で決めてこい」の決めぜりふで“サヨナラ方程式”は準備完了。駆け足用意のナインは赤田の左前打でベンチを飛び出した。

 パ・リーグでは過去3度しかない貴重な記録にも岡田監督はしたり顔だった。

 「記憶にあるよ。覚えてへんのか。あれは同一カードやったけどな」。

 阪神監督時代の08年9月にヤクルト相手に達成。2度目の快感は別の記憶も呼びさます。3戦とも初回と最終回しか点を取れず「これで勝てる?

 野球は甘くはないんやで」と話したことがある。一時13ゲーム差をつけていた巨人に終盤で逆転され、引責辞任。天国と地獄を同時に味わった。長いシーズンの怖さや難しさを知るからこそ、昨年優勝した交流戦中も決してその2文字を使わなかった。

 長期的に戦略を組み、主力であれど2軍調整を命じ、試合は流れを見極めて戦術を繰り出す。セ、パ両リーグでの3戦連続サヨナラ勝利は、勝負師の力を示すにふさわしい。2戦連続サヨナラ勝ちした3日に「1回出ると、出るんよ、サヨナラって。そんなもんよ、野球は」と口にした。この夜の結末を独特の感性で予感していたのかもしれない。左手に黄色い革バンドの腕時計をはめ、打撃練習は中堅→二塁→本塁と3試合とも同じルートでチェックと、ほんの少しだけ験担ぎがあった。

 「この9連戦が勝負よ」という前半戦のやま場で初戦をとった。4連勝で、岡田監督はオリックス通算100勝目。最大借金10だったチームが、わずか1カ月半で貯金3。この劇的変化こそ、「岡田マジック」と言われるゆえんだ。【押谷謙爾】※■=火へんに華