<中日3-2ヤクルト>◇24日◇ナゴヤドーム

 信じられない送球だった。同点の9回裏2死一、二塁、左前打を捕球したヤクルト飯原誉士外野手(28)がバックホーム。突っ込んで体勢は崩れていたが、カットマンが入る必要がない距離だった。しかし飯原の送球は自らの数メートル手前にたたきつけられ、ホームにコロコロと転がって届く“お粗末返球”。完全にアウトのタイミングが、二塁走者は悠々ホームイン。サヨナラ負けに「うまく握れなかった。今日は自分の責任です」と振り返るしかなかった。

 ここまでチームを引っ張ってきた「小川采配」に、さえがない。勝敗を決めた“ゴロ送球”に、小川監督は「ノーバウンドで投げるぐらいでないと。あの体勢から難しいかもしれないけど、あんなボール投げて…」。送球とともに問題なのは、サヨナラの走者が得点圏に進んだとき、なぜ飯原が左翼にいたか。守備要員が肩を作っていたが間に合わなかった。

 選手の配置にもスキがあった。先発増渕が6回に2四球を出し、久古がリリーフ。中継ぎでは最も信頼度の高い左腕だが、組み込まれた打順は9番。次の回の打順は5番からで、チャンスがくれば代打を出さなければいけなくなる状況。2番か3番に入れ、9番に内野手を起用すれば、久古はもう1回投げられた。結果的に打席が回り、久古はわずか1球で降板した。

 結果論とはいえ、想定されるチャンスやピンチでの準備が甘く後手に回った。総力戦での「やりくり」は、今後の優勝争いで最重要課題。4連敗で2位中日に1・5ゲーム差と迫られた。ヤクルトが正念場を迎えている。【小島信行】