巨人の桃井恒和オーナー兼社長(64)が、原辰徳監督(53)に“条件つき”2年契約を提示した。15日、一連の“内紛”の状況説明のため、宮崎秋季キャンプを訪問。そこで原監督と会談し、来季から2年契約で合意した。その上で、来季V逸なら1年で契約解除もあると伝えたことを報道陣に公言。またまた、異例の展開となった。一方で、渡辺恒雄球団会長(85)に反旗を翻した清武英利GM(61)が当面、編成業務を行うことも明言。巨人よ、どうなっていくのか…。

 長い巨人軍の歴史において、またもや異例の出来事が起こった。桃井オーナーは午前11時半ごろ、秋季キャンプが行われている宮崎に姿を見せた。清武GMと渡辺会長との“内紛”の事情説明と、首脳陣と来季契約を締結する意向を口頭で伝えた。今季で3年契約が満了となった原監督には「2年ということで伝えました」と提示し、受諾された。書面での契約はキャンプ後に帰京してからとなる。

 と、ここまでは普通の話だ。2年連続で3位に終わったこと踏まえたうえで、桃井オーナーは契約年数を明かした後、落ち着いた表情で報道陣にこう続けた。

 桃井オーナー

 ただし、来年V逸、3年連続V逸になったら、それはやっぱり責任を取らなきゃいけないよということも一緒に伝えました。2年契約なんだけど、やっぱり3年(連続)V逸は許されないということは僕も思っているし、監督もそういう決意でやってくれよということですね。

 正式に契約書にサインをする前に「来季V逸=契約期間中でも契約解除」の方向であることを公言した。かつてシーズン中に、渡辺会長が感情に任せて「解任」を口にすることはあっても、シーズン前、ましてや正式契約前に、報道陣に明かすのは異例のことだった。

 異例は続く。11日の緊急会見でお家騒動を勃発させた清武GMに対して同オーナーは「僕個人で言えば、ああいう問題を外に向かって記者会見をやるのは、僕の常識にはないです。僕はやっぱり断じて許せない。あの行為がね」とあらためて厳しい言葉を浴びせた。その清武GMは、14日から編成業務を再開。日本シリーズが終わればFA交渉も始まる。巨人では通算511試合、今季も98試合で4番を務めたラミレスがいなくなる状況だけに、強打者の補強はV奪還への絶対条件になる。それでも同オーナーは「当面はね、GMという形なので、それはやってもらおうと思ってます」と、しばらくはその重要ポストに据えるとした。そして「ただ、心配はあるけどね」と付け加えた。

 桃井オーナーとの会談後、原監督は「2年で受諾しました。身の引き締まる思いです」と、表情を引き締めた。そして「1年1年が勝負か」との問いには、はっきりとした口調で言った。「もちろん。そういう中で戦っているわけですから、元来」。V奪還に向け、原監督の覚悟は変わらない。それなのに、このままだと万全のサポート態勢を得られないまま、勝負の来季を迎えることになるかもしれない。【浜本卓也】