巨人原辰徳監督(54)と楽天星野仙一監督(65)との間で、2対2のトレードが成立したことが11日、分かった。巨人から金刃憲人投手(28)と仲沢広基内野手(25)、楽天からは横川史学外野手(27)と井野卓捕手(28)の交換トレード。近日中に発表される見込み。巨人はアジアシリーズに優勝した直後に、さらなるチーム強化にまい進。楽天も補強ポイントをピンポイントに押さえた補強で来季の上位進出をもくろむ。

 親交の厚い両指揮官、原巨人と星野楽天では、初めてのトレードが成立した。

 楽天の最大の補強ポイントは左投手。先発、中継ぎともに経験のある金刃は、楽天にとって価値の高い選手といえる。金刃はルーキーイヤーの07年に開幕ローテーション入りし、7勝をマーク。今季は1軍登板の機会はなかったが、来季の完全復活を期待して獲得に踏み切った。守備力に定評のある仲沢は、右打ち野手の層の薄さに苦しんだ星野監督にとっては、長く探し求めていた人材だ。

 巨人にとっては、横川と井野の加入は「無敵ジャイアンツ」への1歩といえる。今季、固定できなかったのが一塁手。足の状態によって、阿部が一塁を務めることもあったが、ベテラン小笠原の不振が響いた。本来は強打者が守る一塁手の打率の低さが、今季の巨人のアキレスけんだった。横川は実績こそ派手ではないが、潜在能力は高く評価されている。環境を変えることで、未完の大器が開花することが期待される。

 井野は堅実なリードが持ち味。捕手に厳しい野村元監督も一目置いていた。今季同様、来季以降も阿部の一塁での起用は否定できず、捕手の補強は巨人にとって重要な課題だった。

 この日、アジアチャンピオンに輝いた巨人だが、戦いはすでに来季以降に向いている。楽天も今オフ最初のトレードを完成させ、着実に歩を進めていく。互いの課題を埋める交換トレードになりそうだ。