阿部の愛弟子、巨人河野元貴捕手(21)が宮崎春季キャンプの1軍メンバーに招集されることが19日、分かった。昨春キャンプは1軍に途中合流したが、スタートからは初めて。育成出身で昨年支配下選手登録されたプロ4年目。球界最高捕手の阿部も才能に目をかけ、2年前からグアム自主トレに帯同させてきた。河野は1軍招集について「何も聞いてないですが、チャンスがあるなら頑張りたい」と目の輝きが増した。

 1軍出場はないが、過去2年連続で2軍で60試合以上に出場。将来を嘱望されている。最大の売りは強肩。リードにも定評があり、打力も備えている。阿部の後継の筆頭候補だ。

 1軍切符の“ご祝儀”のように阿部から金言を授かった。この日、今自主トレで初めてスローイング練習を行い、指導を受けた。強肩なら河野が一枚上。だが二塁ベース上の低いエリアに送球が集まる阿部に対し、河野の球はバラついた。

 阿部

 ボールを捕って腕をすぐ引き、送球の姿勢に入ると左肩が内に入りすぎて腕が横振りになる。捕って(半円を描くように)下に1回腕を回して真上から縦振りで投げろ。バレーボールのアタックのように。

 スライスやシュート回転していた送球が弾丸送球に変わった。阿部は「かなわない(笑い)。オレも横振りで似ていたから分かる。それを07年に西山さん(当時バッテリーコーチ)に教えてもらって良くなった。ここまで教えたのは初めて」と代々の教えを伝えた。河野は「横振りは自分でも意識していた。ここまでしていただいて、ありがたい」と感謝した。

 キャンプ中に日本代表候補合宿で8人の侍が抜ける。15日に、原監督は「代わりに8人の新しい人を(2次キャンプの)沖縄に連れて行ける。そういう部分ではむしろ楽しみ」と話し「慎之助は素晴らしい選手だが、その後の捕手は真剣に考えなければ」と口にするなど、巨人の未来を思案中だ。その構想に“ゲンキ印”の河野の名前がある。(グアム=広重竜太郎)

 ◆河野元貴(かわの・げんき)1991年(平3)6月14日、福岡・北九州市生まれの21歳。城南中では「行橋シニア」で捕手と投手を兼任し、中3時に全国大会出場。九州国際大付では2年春から正捕手となり、3年夏に甲子園出場。09年育成選手ドラフト2位で巨人入団。12年7月に支配下選手登録された。179センチ、77キロ。右投げ左打ち。