<オープン戦:阪神2-6ロッテ>◇7日◇甲子園

 新人の活躍が続くロッテに、第4の男が現れた。ドラフト4位の吉原正平投手(24=日本生命)が阪神戦で2回を1安打無失点と好投。西岡、鳥谷、福留といった左の好打者をピシャリと抑え、伊東監督から高い評価を得た。豊作の年。1989年(平元)以来、25年ぶりとなるルーキーが4人も開幕1軍メンバー入りする可能性が出てきた。

 救世主のようだった。吉原は左打者を迎えると、躍動感を増した。西岡を膝元のスライダーで空振り三振。鳥谷も福留も、直球で押し込んで打ち取った。「僕は左バッターの方が投げやすい。ベースの右側の方が目標がはっきりしている感覚があるからだと思います」。チームは松永が不調で2軍に落ち、中後の制球難は相変わらずと、左の中継ぎ不在に悩んでいる。そこに現れた左キラーが、まぶしく見えた。

 左の好打者を抑えて来た。練習試合では日本ハム稲葉を二ゴロに封じ、大谷からは三振も奪っている。前回登板のオリックス戦では打ちこまれたものの、社会人時代からの経験が左打者を好む。「代打で左が出て来ると、うれしかったりもします」。左キラーの自覚が十分にある。

 考える力が、左キラーを支えている。プロ入りにあたってグラブの形をわずかに変えた。ウェブの部分を大きくし、手がスッポリ隠れるようにした。「アマよりもクセを見抜くのが、すごい世界。そういうのを少しでも防ごうと思いました」。プロの世界で生き抜くために、対応しようとする能力が吉原の武器になる。

 この日も、ボール1つの出し入れを試しながらのマウンドだった。「粘られるのも勉強」と、シーズン中ならば、空振りを誘いボールゾーンに投げる球をストライクゾーンに投じた。抜群の制球力がなせる技でもある。伊東監督は「ボール、ボールで崩れるタイプではない。今の感じだと開幕1軍に入って来ると思います」と、左封じに指名する可能性を口にした。

 吉原が開幕1軍となれば、1位の石川、2位の吉田、5位の井上と合わせて4人の新人が開幕1軍となる可能性が出て来る。「カギは僕ですね。直球のスピードがもっと出ると思う。まだまだアピールはここからです」。この日は寒さで親指の感覚をなくしながら144キロ。あと数キロアップさせて、開幕1軍切符を奪取する。【竹内智信】

 ◆吉原正平(よしはら・しょうへい)1989年(平元)9月14日、福岡県水巻町生まれ。小柄ながら最速151キロを誇る。日本生命では先発を務めていた。実家は「吉原電器」という町の電器店を営んでいる。昨年4月に結婚し、9月には長男が誕生。妻子持ちでプロの世界に飛び込んだ。174センチ、75キロ。右投げ右打ち。

 ◆新人4人以上の開幕1軍登録

 最近では楽天が06年に青山浩二投手、松崎伸吾投手、河田寿司捕手、草野大輔内野手、西村弥内野手の5人を登録した。ロッテでは89年の5人(前田幸長投手、今野隆裕投手、福沢洋一捕手、島田茂内野手、平井光親外野手)以来となる。