<ロッテ3-4日本ハム>◇6日◇QVCマリン

 日本ハム大谷翔平投手(20)が、渋く効いた。延長11回を制しての3連勝。バースデー弾を含む1試合2本塁打から一夜明け、いぶし銀の働きをした。大胆かつ献身的な狙い。2点のリードから一挙3失点で逆転され、1点を追う展開になった直後の5回だった。1死から大引が失策で出塁した3打席目。カウント3-0から、20歳らしくない思考をぶつけた。

 百戦錬磨の実績を持つロッテ先発の涌井が明らに警戒レベルを上げ、少し緊張を緩めた1球だった。「ストライクだったので」。カウントを取りにきた甘い直球をフルスイングした。空振り。通常の打者は、特に若手は、その後四球になる可能性がアップするため手を出すケースは少ない。ただ「好球」となる場合も多く、外国人選手と一部スラッガーは長打を狙いにいくこともある。大谷の自信、それを許す周囲からの信頼を証明する一振りだった。

 威圧感を与え、続く5球目を見極め四球。「中田さんだったのでつなげようと思った」。その先輩が同点中前打を放ち、すぐに振り出しに戻した。この日は、その値千金を含む2四球で3打数無安打も、また白星の使者になった。9日楽天戦(コボスタ宮城)では投手で先発予定。フル稼働で挑む、勝負の夏本番を突っ走る。【高山通史】