<広島5-4巨人>◇17日◇マツダスタジアム
これがカープの底力じゃ!
首位巨人を相手に2点ビハインドの8回に3点を奪う大逆転勝利。同点に追いつき、なおも2死一、三塁のチャンスで堂林翔太内野手(23)が中前へ勝ち越し適時打をマーク。この日が23歳の誕生日という若き1番打者が自ら誕生日を祝うとともに、首位巨人に連勝してゲーム差を3に縮める活躍を見せた。野村謙二郎監督(47)は通算300勝の節目を快勝で飾った。
記念日だから余計に、打つ予感がプンプン漂っていた。堂林だから醸し出せる、独特の雰囲気だ。2点差を追いついた直後の8回裏2死一、三塁、2ボール2ストライク。山口のボール球、内角低め149キロ直球に泥臭く体を沈めた。ライナーを中前に弾ませて勝ち越しだ。「め~っちゃくちゃ、うれしいです!」。ベンチに向かって、両手でガッツポーズを決めた。
8回2死無走者から畳みかけ、会沢、代打小窪、堂林の3者連続適時打で、一気に3点を奪い逆転した。それまでの4打席で無安打だった堂林は「力を抜けと自分に言い聞かせて」と振り返る。2-2から低めの直球、チェンジアップ、シュートに体を崩されながら3球ファウルで粘った。「何でも、どんな当たりでもいいから打とうと。2ストライクからはそんな気持ち。変化球でも何でも食らいつけそうな感じがあった」。
右手薬指骨折で5月9日に1軍登録を抹消される以前、野村監督から「もっと遊びを作ったらどうだ?」とアドバイスを受けた。自分に妥協を許さず苦悩するタイプだが、完璧を目指すスタイルを少し和らげるきっかけになった。
「今までは完璧なスイングをしようとしていたけど、打撃に『遊び』が出てきた。泳いだり詰まったり、崩されてもヒットを打てるようになった。2ストライクの方が打ちやすいとさえ思えるようになりました」
2カ月近いリハビリ中も忘れず、今も意識する考え方。追い込まれたら崩されてもいいじゃないか-。助言が効いた決勝打を見届け、指揮官は「辛抱して使っているんだから、たまには打ってくれないと。見たこともない、うまい打ち方をしたね」と冗談交じりで若武者をたたえた。
8月17日は23歳の誕生日。地元愛知から両親が駆けつけていた。お立ち台で「この場を借りて、ありがとうと言いたいです!
ここまで大きくしてくれたのは両親なので」と声を張り上げた。
首位巨人との直接対決に2勝1敗と勝ち越し、ゲーム差は3まで縮まった。「これから優勝争いがさらに熱くなる。もう頂点しか目指していません!」。お立ち台で叫び終わると、メガホンの音が球場全体、いや広島の街にまで響き渡った。【佐井陽介】



