<神宮大会東北地区代表決定戦:富士大3-0東北学院大>◇28日◇決勝◇福島・開成山

 富士大(北東北)が、奥州大時代を含めて創部48年目で初の明治神宮大会出場を決めた。敗者復活戦を勝ち上がった東北学院大(仙台6大学)を、最速146キロの1年生右腕・多和田真三郎(沖縄・中部商)が2安打10奪三振で完封し、快勝。多和田は26日の1回戦から3連投で全25イニングを無失点で投げ抜き、大会MVPを獲得した。神宮大会は11月10日に開幕する。

 富士大がチーム史に新たな1ページを加えた。09年の全日本大学選手権準優勝に続く「秋の神宮初出場」。1年生ながら、今秋からエース番号18を背負う多和田が原動力になった。9回裏。最終打者をこの日最速の144キロで三振に仕留めガッツポーズ。「疲れはありましたが、あと1勝で神宮に行けると思って投げました。低めに集めて打たせて取ることができました」と振り返った。

 3日連続で3試合を1人で投げ抜いた。1回戦の東日本国際大戦は2安打12奪三振完封。準決勝の東北学院大戦は7回コールドの7安打0封。そして、この日は四死球なしのオマケをつけて東北学院大を返り討ち。計25イニング無失点(計11安打29奪三振)の安定感だった。

 中部商3年の昨夏は県決勝で糸満に1-2で敗れ、甲子園出場を逃した。だが全試合に先発して3回戦から4連続完投。浦添商戦で延長13回を207球完投。翌日の準々決勝豊見城戦も延長12回を163球完投勝利と、切れて伸びる速球と変化球の制球力に加え、スタミナにも定評があった。

 今秋は防御率トップでリーグMVPを獲得。この日は東北3大学リーグ全体のMVPも獲得し、昨夏果たせなかった自身初の「全国」出場を決めた。先発ただ1人の4年生で女房役の君島立将主将も好リードに加え、先制打に中押しスクイズで援護した。09年全国準Vメンバーの君島は「連投の真三郎を楽にしたかった。全国でも優勝を狙いたい」。多和田は「1年生で全国に行ける。いい経験にしたい」と神宮初登板に思いをはせた。【佐々木雄高】

 ◆多和田真三郎(たわた・しんざぶろ)1993年(平5)4月3日、沖縄県中城村生まれ。津那小1年から津那少年野球クラブで野球を始める。中城中では軟式野球部に所属。中部商では1年秋からベンチ入りし、2年秋からエース。最高成績は3年夏の県準優勝。家族は両親、兄2人。181センチ、74キロ。右投げ右打ち。血液型B。