【マイアミ(米フロリダ州)19日(日本時間20日)】侍ジャパンの大谷翔平投手(28)が、準決勝のメキシコ戦を勝ち抜き、決勝で二刀流として準備する覚悟を示した。

所属するエンゼルスの開幕戦(3月30日、アスレチックス戦)を見据え、準決勝以降は打者専念となる見込みだったが、決勝戦でマウンドに上がる可能性が出てきた。実現するなら最終回、リードしている展開での登板が現実的。胴上げ投手・大谷で、世界一を奪回するシナリオが浮かび上がった。

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夢のシナリオは実現するか。大谷は準決勝の前日、戦いの舞台となるローンデポパークでキャッチボールなどの投手調整を行った。3大会ぶりの世界一まであと2勝。準決勝では打者に専念し「勝つだけだと思うので、ピッチャーは抑えてくれると信じてますし、あとはバッターがどれだけ、楽にさせてあげられるか。問題なくみんなが計算通りにいけば、間違いなく勝てる」と胸を張った。

決勝進出から、胴上げ投手へ-。夢のような、びっくりプランを実現してしまうのが大谷だ。決勝戦で投げる可能性について「中継ぎでいく準備はしたい。最後の最後ですし、自分の体と相談しながら決めたいと思います」と意欲を示した。1次ラウンドでは開幕投手を務め、投打で好スタート。準々決勝のイタリア戦でも投打に活躍した。そして決勝戦も、二刀流でフィナーレを飾る可能性が出てきた。

昨季から導入された、投手がDHとしても出場できる「大谷ルール」は、先発の場合のみ適用される。DH大谷がリリーフで登板すると、その時点で「DH解除」となる。仮に大谷が降板すれば、その後の救援投手が打順に入る不利な状況も生まれてしまう。中継ぎ待機とは言っても、DH大谷を投手で起用するなら、リードした場面で試合を締める状況以外は考えにくい。つまり、大谷が胴上げ投手となるシナリオが完成する。

決勝進出となれば、先発はこの日ブルペン入りした今永が最有力候補で、リリーフ待機のダルビッシュから大谷へとつなぐ豪華リレーとなる可能性もある。もっとも、大前提はメキシコ戦で勝つこと。大谷は「やることは(今までと)あまり変わらないので、いいイメージだけ持って打席に立ちたい」。二刀流でWBCのフィナーレを飾るべく、まずは一戦必勝といく。【斎藤庸裕】

◆DHを解除しての登板 大谷がDHで先発出場してから救援登板したのは、日本ハム時代の16年CSファイナルSの1度だけ。ソフトバンクとの第5戦で、3番DHで先発出場して4打数1安打。3点リードの9回からはリリーフで登板し、自己最速となる165キロを計測。2三振を奪うなど3者凡退に抑えてセーブを挙げ、チームも日本シリーズ進出を決めた。

◆WBCの球数制限 1次ラウンドは65球、準々決勝は80球、準決勝と決勝は95球。打席中に制限数に達した場合、その打席完了まで投球できる。50球以上は中4日、30球以上か連投した場合は中1日の登板間隔が必要となる。

○…大谷はエ軍の同僚でメキシコ先発のサンドバルに対し、挑発には挑発でお返しした。この日の練習後、フィールド上で対面。「お互いに『気をつけろ』と(笑い)。『アリゾナに行く準備はできているか』と、お互い言ってましたけど」と笑った。負ければエ軍のキャンプ地アリゾナ州テンピへと戻る必要があるため、それを皮肉っぽく言い合ったようだ。仲良しの同僚だが、2日前はサンドバルが大谷を「誰?」と、とぼけて挑発していた。