これぞメジャーリーガーの技術だった。吉田正尚外野手(32=レッドソックス)が3点を追う5回1死、オリックス九里亜蓮投手(34)の内角カットボールをすくい上げた。右翼ポール際。確信だった。5階席まで運ぶ特大の飛距離126・5メートル弾で反撃ののろしを上げた。「初ヒットがホームランで、チームに勢いをつけることができてよかった。3シーズンぶりに、オリックスファンの前で良いパフォーマンス出せて良かった」とほおを緩めた。
チームは5回1死まで無安打に封じられていたが、チーム初安打となる1発にベンチの大谷翔平投手(31=ドジャース)、鈴木誠也外野手(31=カブス)らからも大興奮で迎えられた。チーム唯一のマルチ安打に「順調に来ています」とうなずいた。
かつて過ごした本拠地をわかせた。京セラドーム大阪でのプレーは23年3月、前回大会での強化試合以来3年ぶり。試合前練習ではグラウンドに姿を見せただけで大歓声が起こった。屋外でのフリー打撃では5階席への特大アーチ含む柵越え6本をたたき込んだ。「元気な姿を見せられた。歓声も届きましたし、すごく力になりました」とかみしめた。
さらに試合前には古巣ナインに粋な計らいも。段ボール2箱を抱えてオリックスベンチへ自ら向かった。中身はおけに入った大量のすしとオリックス、レッドソックス、侍ジャパンでの3バージョンの自らの写真を切り抜いたアクリルスタンドが。主砲として連覇に導いた古巣ナインに愛のある差し入れを届けて感謝を行動でも示した。
追加招集以外では最後に侍ジャパンに加わった心優しきマッチョマンが打線の中軸にどっしり座る。前回大会は準決勝メキシコ戦で起死回生の同点3ランを放ち、サヨナラ勝ちに導いた。そこから3年。「前回がメジャー1年目で何もわからずに突っ走った。正直、結構きつかったですけど、それ以上の素晴らしい経験ができた。もう1度その舞台に立ててすごく光栄だと思ってます」と心待ちにしてきた今大会。吉田のバットが、最強打線を確たる物にする。【小早川宗一郎】

