世界一を育てた名匠からお墨付きをもらった。元「年俸0円のJリーガー」で、昨年格闘家に転向した安彦考真(43)が、8日に都内のボクシングジム「GLOVES」で練習を公開した。

指導を受けたのは、同ジム代表の葛西裕一氏(51)。元東洋太平洋ジュニアフェザー級(現・スーパーバンタム級)王者で、引退後は帝拳ジムのトレーナーとして、西岡利晃、三浦隆司ら世界王者を誕生させた。また、来春ボクシングに転向する那須川天心も早くから才能を見出し、15年から指導をしている。

安彦は4月のキックボクシングの大会「EXECUTIVE FIGHT~武士道~」でデビュー戦KO勝ちしたが「打撃の技術を上げたい」と2戦目となる8月27日の大会に向け、葛西氏のもとを訪れた。拳に巻くバンテージから違った。可動域を変えないようにしながら、手首までしっかりと巻かれ、ケガを回避する動きを教えられた。「全然違う」と何度もうなずきながら話を聞き入った。葛西氏は「巻き方1つで手を痛めず、大きなケガを回避できる」と語る。実際、バンテージを巻くだけのために専属のトレーナーを雇うボクサーもいるという。

その後グローブを付けると、一気にパンチの威力が上がった。ステップの指導も受け、ガードする手の位置を修正。安彦は「一瞬で癖を見抜かれ、直された。(パンチの)当たっているところが、点でしっかりと感じ取れる」と短時間で伸びていく自分の力に驚いた。最後はサンドバッグで習ったことをおさらい。わずか30分程度ながら、大粒の汗を流し、反復練習を行った。これまでは「(得意の)前蹴りのことが頭にあって、打撃の意識が少なかった」という安彦だが、この日の指導で自信を付けた。

今回は、親交のある元WBC世界ライトフライ級チャンピオンの木村悠氏の計らいにより実現。安彦は普段、K-1などで活躍した小比類巻貴之氏のジムで練習を続けている。ボクシング界、格闘技界で名をはせた著名人から手厚い指導に「なかなかない。本当に光栄なこと」と感謝する。名匠から学んだことをしっかりリングの上で表現し、勝利で恩返しする。【松熊洋介】(ニッカンスポーツ・コム/元年俸120円Jリーガー安彦考真のリアルアンサー)

8日、ボクシングジム「GLOVES」の葛西裕一代表(左)の指導を受けた安彦考真
8日、ボクシングジム「GLOVES」の葛西裕一代表(左)の指導を受けた安彦考真
8日、「GLOVES」葛西裕一代表(左)にボクシングの指導を受けた安彦考真
8日、「GLOVES」葛西裕一代表(左)にボクシングの指導を受けた安彦考真