場所前、福岡市東区の博多高に相撲場が完成した。九州場所がある福岡市内の高校で、初めての相撲場だった。創部2年目の相撲部で監督を務めるのは一ノ瀬康平氏(25)。同い年の正代、1学年下の小柳を倒して13年に学生横綱に輝いた。その熱意から生まれた。

 福岡県内で相撲部がある高校は今、4校。「20年前はもっと少なくて、中学には相撲部もなかった。相撲クラブがぽつぽつとある程度。だから、中学卒業で大相撲に行くか、県外の高校に行くか、それともやめるか。相撲を見る土壌はあったけど、先がなかった」。

 福岡県飯塚市出身の一ノ瀬氏は角界からの誘いを断って指導者の道を選んだ。そして選択肢を増やした。相撲場開きに参加した福岡出身の元大関魁皇の浅香山親方は「こういうところが1校でも増えると、ありがたい。相撲に興味を持つ子が増えれば、見に来る人や、力士になりたい人も自然と増える」と歓迎した。

 部員は今4人。一ノ瀬氏は「大相撲で活躍する生徒が出てくれれば福岡の学校も盛り上がる。横綱を出したい」。歴代71人の横綱で福岡出身は第10代の雲龍と第15代の梅ケ谷。1885年(明18)を最後にいない。生まれる日がいずれ…。そうなれば、九州ももっと盛り上がる。【今村健人】