今場所から阿武松審判部長(元関脇益荒雄)をはじめ、新たに8人の親方衆が審判部として、土俵下から取組に目を光らせている。年寄へと計5階級降格し、自らを「一兵卒」と呼ぶ注目の貴乃花親方(元横綱)のほか、副部長の錦戸(元関脇水戸泉)、玉ノ井(元大関栃東)、友綱(元関脇旭天鵬)の各親方といった優勝経験者、さらに二子山(元大関雅山)、西岩(元関脇若の里)、振分(元小結高見盛)という人気者の各親方が新たな顔ぶれだ。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「審判部はもとから出島、千代大海、魁皇がいて、栃東、雅山も入った。元大関が多くて、どこの審判でも『オーッ』となる。お客さんを喜ばせることができる。そこに貴乃花がいる。今回(の人事)はだいぶ、そういうのも気を使った。充実している」とメンバー構成に自信を持つ。

 夏場所2日目の14日、最も早い午前8時半から序ノ口、序二段を土俵下で見た貴乃花親方は「新鮮ですよ。将来ある子が多くて気持ちいい」と入門当時を思い出して笑顔。代役で昨年春場所で1場所務めて以来、初の審判部配属となった振分親方は「期待に応えられるよう頑張りたい。マイクも…。苦手ですが頑張ります」とファンを意識。親方衆も歓声を意気に感じる相乗効果が生まれている。【高田文太】