りりしい眉と柔和な笑顔が、現役時代の父と重なる。180センチに満たない体で観客を沸かせた尾上親方(元小結浜ノ嶋)の長男、浜洲(本名・浜洲泉啓、17=尾上)が今場所の新弟子検査に合格。18日の新序出世披露を経て、来場所は番付にしこ名が載る。

目標は「父超え」だ。元関取を父に持つ現役力士は、新弟子の浜洲と元幕内常の山の息子、下村(18=境川)が加わり9人。2代で関取になった親子は現役では平幕の佐田の海のみ。歴代でも9組と険しい道だ。

病気に悩まされた高校時代だった。埼玉栄高で相撲を始めたが、1年生の時に髄膜炎を発症。頭痛や首の硬直に伴う歩行困難で、3年間で稽古はまともにできなかった。公式戦出場は1回のみ。それでも「かっこいい父にあこがれているから」と、角界入りへ決意は固まっていた。

幼い頃から、部屋付き親方として若い衆を指導する父を見てきた。「間近で厳しい世界を見てきたはず」と尾上親方。だからこそ、角界入りを決意した息子に覚悟を感じた。「いつか『浜ノ嶋』を襲名したい」と語る浜洲に対して「厳しく指導して大きく育てたい」と父。

親子の挑戦が始まった。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)