口癖のように「若いのにまだまだ負けられませんから」と語る表情は、充実感に満ちあふれている。西三段目40枚目翔傑(芝田山)は、場所前の9月5日に45歳の誕生日を迎えた。年6場所制が定着した58年以降、45歳以上の力士が本場所で相撲を取るのは4人目となる。特筆すべきは、4人の中で唯一初土俵から休場がない点。高齢力士といえば51歳で現役の序二段華吹(立浪)が話題を呼ぶが、翔傑の“鉄人”ぶりも際立っている。

12日、初日の取組で香富士(左)を攻める翔傑
12日、初日の取組で香富士(左)を攻める翔傑

元大関魁傑が師匠の放駒部屋に入門して、18歳の95年春場所に初土俵を踏んだ。4年後の99年に部屋付きの芝田山親方(元横綱大乃国)が部屋を興し、翔傑は13年に放駒親方が定年に伴い部屋を閉鎖したことをきっかけに転籍。同親方は「どこの部屋に出しても恥ずかしくない。稽古はしっかりやるし、後輩もしっかり叱る」と評価。部屋の最年長として全幅の信頼を寄せている。

最高位は西幕下4枚目で、ここ2年は三段目で奮闘。翔傑は「回復力はさすがに若手にかなわない」と加齢の影響を実感するが「諦めがつけば力は抜けるけど、それがまだないから」とニヤリ。モチベーションが落ちない理由。「相撲が好きなんで」という言葉に詰まっている。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)