世界初挑戦のWBA世界ライトフライ級2位小西伶弥(24=真正)は善戦及ばず、同級1位カルロス・カニサレス(25=ベネズエラ)に0-3の判定で敗れた。

 わずかに期待した判定結果は無情だった。ジャッジ3人に支持されたカニサレスは跳びはねて喜び、小西はうなだれてリングを下りた。「試合内容は相手が上回っていた。完敗。僕の負けです」。潔かった。

 世界初挑戦の重圧か。3回30秒過ぎ、右カウンターでキャンバスにひざまずいた。人生初のダウンに「パニクってしまった」。4回からは左ボディーを軸に主導権を奪ったかに見えた。しかし相手の試合巧者ぶりは一枚上。「思ったより逃げるのがうまくて単発で終わってしまった」。

 5歳から空手、中学では100メートル11秒台前半で走る短距離選手。ボクシングで頂点を極めるためで、高校から憧れの元世界3階級王者長谷川が所属する真正ジムに入門した。珍しい左利きの右構え。1日腹筋900回などで体幹を鍛え、課題の右を克服。その効果は指導する江藤トレーナーが「(小西の)手が折れるんじゃないかと心配したぐらい」。それほど磨き上げたパンチ力も、夢の舞台では不発に終わった。

 ただ、世界は夢じゃないと実感できた。「楽しかった。まだまだ自分に厳しく練習しないと。絶対はい上がります」。16戦目の初黒星は小西に大きな悔いと財産を残した。【実藤健一】