同級1位矢田良太(28=グリーンツダ)が8回TKOで新王者になった。同級王者有川稔男(33=川島)の3度目の防衛戦で指名挑戦。激しい打撃戦になったが、8回に左フックでダウンを奪った。有川が立ち上がって再開も、1発を打ち込むとレフェリーがストップ。8回58秒TKO勝ちを収めた。

 初回に矢田が右ストレートで先手をとった。ぐらついた有川が逆襲して、今度は矢田がぐらつく。初回から激しい打ち合い。有川がペースを取りかけたが、5回の途中採点では矢田が3-0でリード。これで矢田が息を吹き返した。8回に左フックを浴びせてついにダウンを奪う。有川が立ち上がったもののダメージは大きかった。

 勝利の瞬間に矢田は大の字になり、ベルトが腰に巻かれると大泣きした。元は野球少年で鹿児島・樟南ではDeNA大和の2年後輩だった。投手だったが肘を痛めて挫折し、サラリーマンになった。「何かやりたい。腕っぷしには自信あった」と、3年で脱サラしてプロボクサーを目指した。

 尼崎ジムからデビューも2勝2敗でパッとせず。グリーンツダジムに移籍し、昨年のWBOアジア太平洋王座に次ぐ2度目の王座挑戦で花を咲かせた。「目立ててよかった。センスはないから1日4時間練習した。拾ってもらってよかった」と話した。今回負ければ、夫人の実家の農園を継げと言われていた。「まだボクシングを続けられよかった」とホッとしていた。

 有川は6連続KO中だったが、まさかの王座陥落となった。初回にいいパンチをもらい、川島会長は「引きづったかもしれない。調整はよかったが動きが悪かった」と話した。有川は「パンチは効いていた。ジャブも出ていたし。相手のパンチはパワフルだが思ったほどでは。いけると思ったが息を吹き返してこられた」。納得がいかないようだった。