ボクシングの元世界3階級制覇王者の亀田興毅(31=協栄)が、元WBC世界フライ級王者ポンサクレック・ウォンジョンカム(40=タイ)に2回12秒TKO勝ちした試合から一夜明けた6日、都内の協栄ジムで会見を開いた。

 亀田興は会見で、試合前の練習で腰がヘルニアになった上、左拳も痛めたため、予定していた練習が消化出来ないまま、試合に臨んでいたことを明かした。「試合前だから言っていなかったですけど、ヘルニアになって練習もプランより短くなった。そういうのを踏まえて考えると伸びしろはある」と語った。

 また、ポンサクレック戦を引退試合として開催しながら、引退式の10カウントゴングを途中でやめ、元4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(30=ニカラグア)と対戦出来るなら、もう1試合したいとぶち上げた件についても、改めて言及。「1回、引退するって言うたのに、ああいう風な形になって、あの場を作っていただいた方、コミッションの方々にも大変、申し訳ないことをしたなと思うので、そこは謝っておきたい。すごい迷惑をかけてしまったので」と、日本ボクシングコミッション(JBC)をはじめとした関係各位に謝罪した。

 その上で「自分にウソをつきたくなかった。どこかに、そういう気持ちが少しでも残っているなら、後悔するのは嫌やし、それやったら最後までやり切ってしまおうかなと。ただ、その選手以外とやるしかないし、実現できないなら静かに速やかに引退する…それだけ」と、あくまでもゴンサレスとの対戦を熱望。「偉そうなことを言うたけど、勝てる自信がない。正直、無理ですよ。かませ犬としてでも選んでもらえたら…1%でも」と可能性を探る考えを示した。

 協栄ジムの金平桂一郎会長(52)は、14年に当時のWBA、WBO世界スーパーバンタム級統一王者ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)を招聘(しょうへい)し、天笠尚との世界戦をマッチメークした実績を強調。「興毅は世界ランクにも何も入っていない。それに相手があることも当然、分かった上で…ボクシングの興行は決めつけてやったら、ビッグマッチやスーパーカードは出来ないもの。お客が求めるから基本的にはやるんであって…興毅とロマゴンは皆さん、見たいと思う」と語り、週明けから交渉に向けて動きだす考えを示唆した。【村上幸将】