ボクシングで世界王者を期待される逸材が、26日に東京・後楽園ホールでプロテストに臨んだ。

 ミニマム級の重岡銀次朗(18=ワタナベ)は熊本・開新時代に高校5冠を達成し、実質無敗だった強打者。6回戦のB級で受験し、スパーリングでは強烈な右ボディーなどで実力の一端を披露した。合否は27日に発表されるが、実績から合格は間違いないところだ。

 重岡は幼稚園で空手を始めたが、ボクシング好きの父功生さんの勧めで、小4から地元のジムに通い出した。キッズを対象にしたU15では、小5から中3まで5年連続優勝。「1度も負けたことがない」という。兄優大は拓大3年で東京五輪を目指すが、重岡は「テレビで亀田や長谷川さんを見て、プロしか頭になかった」と話す。

 高校でも負け知らずだったが、記録上は56勝1敗となっている。県予選決勝で兄弟対決になった。「兄もぼくもやりたくないし、父もやらせたくない」と家族で相談した結果、リングに上がったがゴングと同時に重岡サイドがタオルで黒星がついた。「兄の方が強い」というが、戦わずしての1敗だった。

 先輩もいて、軽量級が多いことからワタナベジムを選び、4月に上京して入門した。左手首に古傷があり、9月予定のデビュー戦に合わせて練習してきた。スパーではジムの日本同級王者小野を圧倒するという。153センチと身長はないが、パワフルなパンチに勘の良さが売り。渡辺会長は「世界をとれる力がある。入ってきた時の京口と同じぐらいだが、京口は大卒も重岡は高卒だから上。内山ぐらいの期待はある」と話す。

 ジムの合宿所に入り、居酒屋のアルバイトをして、世界を目指すスタートラインについた。現在は5、6戦目あたりで東洋太平洋王者を目標にしている。軽量級ながらも「倒せるボクサーになりたい」と言い切った。