ボクシングで5階級制覇したフロイド・メイウェザー(41=米国)が、キックボクサーの那須川天心(20)と対戦する。RIZINが5日に都内で、12月31日にさいたまスーパーアリーナでの対戦を発表した。50勝(27KO)対32勝(24KO)と、全勝同士の異種格闘技対決。メイウェザーが海外進出第1弾として参戦を希望して実現した。ルールなどは今後の話し合いだが、那須川はボクシングルールを容認した。世界最強ともいわれた男にキックの神童が挑む。

日米全勝対決の異種格闘技戦の実現は、メイウェザーのオファーが始まりだった。アマ時代は欧州やキューバで試合も、プロ50戦はすべてが母国。「米国を飛び出し、ここをスタートに世界へ展望を広めていきたい。10回近く来た東京は美しく、好きだし」と、10月にRIZINへオファーした。

RIZINの榊原大会実行委員長は「この男しかない。天才がいると世界に知らしめたい」と、相手に那須川を指名した。那須川も「びっくりしたが、人生で最大の出来事が現実になった。拳1つで世界を変えたい」と即決した。

メイウェザーは那須川のハイライト映像を見たという。「若くて信じられないスキル。タレント性、パワーもある。負けていないことはすぐれたファイター」と持ち上げた。前日に撮影などで初対面し、実際の肉体も見た。「なかなかいい体形。きっちり練習している」と評価した。

ルールは今後の交渉で煮詰める。メイウェザーは「信頼している。体重ではなくスキルのぶつかり合い」と自慢の防御テクニックを見せるつもりだ。那須川は「ボクシングでもなんでもいい。失うものはない」。今後はボクサー転向プランもあり、パウンド・フォー・パウンド(全階級通じての最強選手)との対決実現を優先する。

メイウェザーは今年もフォーブスで最も稼ぐスポーツ選手の1位になった。全盛時は1試合で100億円以上。ファイトマネーについて榊原委員長は「100万円もらっていた人が1万円や10万円で納得はしない」と表現。中長期契約であることも強調した。

那須川は「オーラは感じるがパンチは当たりそう」と相手を横目に宣言した。メイウェザーは笑みを浮かべて拍手で応えた。那須川は「なめられているのは分かっている。気負わずにいける」と決戦を見据える。

異種格闘技はアリ対猪木が原点とも言える。メイウェザーは「映像は見たことある。いいショーだった。オレもいいショーを見せる」と、大みそかでのパフォーマンスを約束した。【河合香】

◆那須川天心(なすかわてんしん)1998年8月18日生まれ。20歳。千葉県出身。32勝無敗初代RISE世界フェザー級王者。サウスポー。愛称は「神童」。165センチ、59キロ。

◆フロイド・メイウェザー 1977年2月24日生まれ。41歳。米ミシガン州グランドラピッズ出身。50勝無敗。世界5階級制覇(Sフェザー~Sウエルター級)。右のボクサーファイターで愛称は「ザ・マネー」。173センチ、69キロ。