エキシビション戦でのリング復帰を目指すボクシングの元世界ヘビー級王者マイク・タイソン氏(53)を最後に倒した男がクローズアップされている。

05年6月、6回終了TKO勝利でタイソン氏を現役引退に追い込んだアイルランド人ボクサー、ケビン・マクブライド氏(47)の現在が5月31日、英紙デーリーメールに報じられた。タイソン氏の言動が伝えられるごとに名前が挙がる同氏は米マサチューセッツ週ボストンで妻と2人の子どもと生活している。

同紙のインタビューでは「私は現在、樹木医と一緒に仕事をしています」と職業を明かした。環境汚染や病害虫によって病気にかかった樹木を診察、検査する「木の外科医」をサポートする業務で、材木を拾い、冬には樹木に積もった雪も下ろすという。「この仕事は私を忙しくさせている」と充実した生活ぶりを語った。現役引退は11年。タイソン氏に勝ったヒーローはその後、8戦2勝6敗と負け越した。目立った活躍ができないまま、アルコール依存症となってリングを去ったという。この10年間は仕事に集中し、お酒は口にしていないそうだ。

15年前のタイソン戦当時は32歳。マサチューセッツ州に拠点を置き、パッキー・コリンズ・トレーナーのもとで10週間にわたるキャンプに取り組んだ。マクブライド氏は「タイソンが私を殴った時、いつでも笑うように、とトレーナーから言われたことを覚えている。試合動画をみればたくさん笑っているのが分かるはず」と強調。さらにタイソン氏が試合中にクリンチで左腕を折ろうとしたり、乳首をかもうとしていたと指摘し「神様、マウスピースを差し込んでくれてありがとう。そうでなければ私は1つの乳首しかないアイルランド人になるところだった」と、冗談交じりに本人しか分からないエピソードも披露した。

当時を懐かしみながら「勝利した後に踊って喜んだが、最高のタイソンではなかったことも分かっている。しかし、あの夜は間違いなく勝ちました」と遠い目。当時のファイトマネーは15万ドル(約1650万円)だった。タイソン戦後、名物プロモーターだったドン・キング氏とも契約を結んだものの、戦績が伴わずに世界王座には届かなかった。

数年前には、あるイベントでタイソン氏とも再会したこともあるという。マクブライド氏は「あいさつして、私を覚えているかと訪ねたら、彼は手を振って『ケビン、覚えているよ』と」。53歳となったタイソン氏がリングに戻ろうとしていることを歓迎し「彼がカムバックすると言うたびに、私が彼を倒した最後の男だったと話題になる。それが頻繁になることは嫌ではない。好きだよ」と締めくくっていた。