無敗の神童が連勝記録を延ばした。那須川天心(22=TARGET/Cygames)が志朗(27=Be WELLキックボクシングジム)に3-0判定勝ちし、デビュー戦から無傷の44連勝を飾った。

3R終了後左手を大きく突き上げ、勝利を確信した。クリーンヒットこそなかったものの、各ラウンドともに攻撃力で上回り、終始自分のペースで試合を進めた。ボクシングジムに通う回数を増やしたことが奏功し、打撃戦で志朗を圧倒。さらに心理戦でも優位に立ち「かけひきで勝つことができて、改めて自分が強くなったんだなと思う。志朗君ありがとう」とライバルに感謝した。

3年半ぶりとなる適正体重での試合。54・95キロでパスした前日計量では「久々に55キロでやれるので楽しみ」と意気込んで試合に臨んだ。ここ数年55キロ以上での試合が続いたが、そんな中でもパワーアップし続けていた。「どれだけスピードが出るか。自分でも制御できないくらい動くのでは。明日の自分に任せるというか、期待したい」と自分でも理解できないほどのレベルを実感していた。

昨年の挑戦者決定トーナメントで優勝した志朗とは19年9月に対戦し、3R判定勝利。1年半ぶりの対戦に「実力で上がってきた選手。執念を感じるし、認めている部分もある。自分のスピードに対応してくると思う」。警戒はするが、普段から相手の対策をするタイプではない。「前回以上の屈辱を味合わせてやる」と一蹴。さらに「55キロだからといって、スピードだけで戦うつもりはないし、3分3Rしかないので、志朗君に謎を与えようかな」。余裕の言葉通りの試合展開で志朗を寄せ付けなかった。

将来的にボクシング転向も視野に入れる。ファンが期待する武尊との試合も待ち望まれる。「キックをやる時間は少ないと思う。これからもしっかりとRISEに恩返ししていきたい」と語った。

「次元の違う相手は現代にはいない」と話す。自身のユーチューブでは、人気漫画「鬼滅の刃」に出てくる必殺技を練習するなど、アニメの世界に敵を求めるほどになった。負け知らずの神童は、誰も届かない領域でさらに成長を続ける。【松熊洋介】

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