米プロレスWWEには現在、中邑真輔(41)、アスカ(39)、紫雷イオ(30)らが在籍し、第一線で活躍している。

10日(日本時間11日)からは2日間にわたり、米タンパで年間最大の祭典レッスルマニア37大会が開催。世界中のプロレスファンが注目している。日刊スポーツ・コムでは「WWEの世界」と題し、米最大規模マットの話題を届ける。第1回はWWEの「アンバサダー」として活動するカイリ・セイン(32)が登場。レッスルマニアからのWWE入門を勧めた。【取材・構成=藤中栄二】

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85年3月、米ニューヨーク・マディソン・スクエア・ガーデンで開催された第1回大会から数え、今年で37回目を迎えるレッスルマニア。ハルク・ホーガンの登場で全米のプロレス熱が一気に高まり、レッスルマニアが始まった。レッスルと、ホーガンのキャッチフレーズ「ハルカマニア(ハルク狂)」をミックスさせた名称のイベントは現在、10万人規模のスタジアムで開催されている。

カイリは「レッスルマニアはWWE入門にうってつけです。見始めるにはベストタイミングだと思います。いろいろな試合が詰め込まれている。戦国で言うと天下分け目の戦。さまざまな国の将軍が集まって一騎打ちするイメージですね」と口調を強める。WWEはライバル団体だったWCW、AWA、ECWなどの米プロレスの歴史を受け継ぎ、各選手のキャラクターが際立つ試合や因縁が生まれている。

「感動する試合もあれば、本当に面白い試合、選手に火をつけてしまうような奇想天外な展開もあったり、女子の試合もある。バラエティーに富んでいる。こんな面白い団体なんだと分かります。WWEを見ようかと迷っている方、少しWWEが気になっている方に伝えたい。『今ですよ』と」

今年のレッスルマニアで注目の女子試合は王者アスカ-リア・リプリーのロウ女子王座戦、王者サーシャ・バンクス-ビアンカ・ブレアのスマックダウン女子王座戦の2カードだ。カイリは「(シングル戦としては)4人しか出られない狭き門。実力だけでなく、運も必要で、いろいろな流れが重なり、選ばれた。すごいと思いますし、プロ意識として出られずに悔しいと感じる選手もいると思います」と明かす。

特にアスカ-リプリー戦について、カイリは「入門編として言うと、アスカさんは、もう横綱。心技体が整い、誰もが認める存在です。リア選手は私のほぼ同期ですが、1~2年ほどチャンスをもらえなかった。本当に悔しい思いをしながら、ここまで上がり詰めてきた。同期として誇り」と喜ぶ。

リプリーとはWWE時代、同じマンションに住み、仲も良かったという。日本マットに参戦経験もあり、日本好きな一面も。昨年のレッスルマニア36大会でドラゴンボールのベジータのコスチュームで試合をしていたという。カイリは「2人ともレベルの高い選手。リア選手は未来を担う存在だと思いますし、すごい戦いになる」と分析した。

昨年のレッスルマニア36大会で、カイリはアスカとWWE女子タッグ王者として防衛戦に臨んだ。挑戦者のアレクサ・ブリス、ニッキー・クロス組に敗れはしたものの、反響は大きく、現在の自らのSNSの総フォロワー数は110万人近くに増えたそうだ。カイリは「PPVは世界配信されています。私にも中国語、スペイン語、インド語、多くの言語のメッセージを頂きました。そうやって世界中の方に応援していただけるのは本当にうれしいです」と注目度の大きさが世界規模になっている現状を明かした。

レッスルマニア37大会はWWEイベントとしても1年以上ぶりに有観客で開催する舞台。カイリは「観客の声援は選手の何よりの特効薬です。それだけで本当にうれしいし、いつも以上の力を出せる、限界を超えられる。最高の舞台になります」と締めくくった。1年間続いたストーリーの終幕であり、新たなストーリーの幕開けとなる年に1度の祭典。米国、日本、欧州だけでなく、世界各国に多くのファンを持つWWEワールドへの入門として最高のタイミングとなる。

 

○…WWEのプロモーションとしてカイリ・セインがレッスルマニアのゲスト解説を務める。14日にJ SPORTSスポーツ・オンデマンド他で放送される日本語実況版に登場するカイリは「プロレスを知らない方、WWEの大ファンの方も聞いてうれしいような、私しか知らないバックステージのエピソードなどを伝えたい。選手の人間性や人柄をプラスし、試合をどうやって見たらいいのかを分かりやすく伝えることができたら。私の解説でも、ぜひ」とPRした。