IWGP世界ヘビー級王座決定戦で、鷹木信悟(38)がオカダ・カズチカ(33)を破り、第3代王者に輝いた。

終盤、オカダのマネークリップで意識を失いかけた。昨秋のG1クライマックスで葬られた時と同じ技でKOされるわけにはいかなかった。声を張り上げ、何とかロープに回避。龍魂ラリアットを繰り出し、力勝負を制した。最後はラスト・オブ・ザ・ドラゴンで粘るオカダを沈めて勝利。18年ドラゴンゲートから移籍後、初となるIWGPのベルトを手にし「これは夢じゃなく、現実だ」と叫んだ。

3月のニュージャパンカップ決勝でオスプレイに敗れた。その後世界ヘビー級王者に輝いたオスプレイは、初防衛戦の相手にオカダを指名したが、鷹木が割って入り、5月4日に挑戦。またしても敗れ「奈落の底に落ちていった」と元気はつらつおじさんは、珍しく弱気になった。ところがオスプレイがケガでベルトを返上、巡ってきたチャンスをものにした。「ギリギリ生き残った。いろいろあったけど、今日の1戦で鷹木信悟は完全にはい上がった」と勢いを取り戻した。

ようやくベルトを手にした鷹木だが、頭の中はすでに次のステップに向かっていた。「これがゴールではない、スタートだまだまだやらなきゃいけないことが山ほどある」。次期挑戦者に「勝ったらやろうと思っていた」と同い年の飯伏を指名。新日本に来た時から興味を示していた。飯伏が初代王者の時は挑戦の意思を示すも相手にされなかった。2カ月で立場は逆転。リング上に呼び出し「このベルトに挑戦するのか、イエスか、はい、で答えろ」と鷹木らしいコメントで要求を突きつけた。

新王者になったばかり。統一前のIWGPヘビー級で何度も王者に輝いたオカダや棚橋らに比べて「実績はたいしたことない」と立場をわきまえる。「今日負けていたらトップに永遠に上ることができないと思った。首の皮一枚残った」。

飯伏に勝利した後はオスプレイへのリベンジも見据える。「本当のチャンピオンになるには乗り越えないといけない」。同ユニットの内藤、SANADAよりも先にベルトを巻き、刺激を与えた。「プロレス界のてっぺん目指して、龍のごとく駆け上がってやる」。21年、休むことなく出場し続ける鷹木だが、まだまだ倒さなければならない相手がたくさんいる。