ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(32=志成)が10日にオンライン会見し、9月1日に東京・大田区総合体育館でのV3戦を発表した。WBOから6月に指名試合として指令されていた、同級2位フランシスコ・ロドリゲスJr.(28=メキシコ)を迎え撃つ。昨年大みそかに同級1位田中恒成(26=畑中)を8回TKOでV2成功以来の試合となる。収容50%以下の有観客で開催する予定。

井岡は「こういうコロナ禍の中で、素直に試合が決まってうれしい。7月からはスパーリングして、今追い込んでいる。統一戦を臨んでいたが指名試合になった。次に進むためにしっかり勝ちたい」と話した。

東京オリンピック(五輪)をテレビ観戦して「興奮、感動があり、毎日楽しかった。勝ちは大前提も、あと1歩が届かなくても、人間性とかに選手の味があり、いい刺激をもらった」と話す。閉幕から3週間後の一戦に「さみしさがある。ボクが余韻をもう一盛り上げしたい」。

井岡は田中戦後の4月にドーピング違反騒動が起きた。日本ボクシングコミッションのずさんな検査などが判明も、騒動に区切りがついたのは7月12日。「人生が変わったぐらい苦しかった」という3カ月だった。謝罪などを受け入れ、3日後には名称も場所も変えた志成ジムをオープンした。

騒動後の初の試合に注目も集まるが「別のものと考えている。ボクシングは仕事で人生。誰であろうと正々堂々と戦うだけ」と試合に集中する。

ロドリゲスは14年にWBO世界ミニマム級王座を獲得した。IBF同級王者だった高山勝成との王座統一にも成功したが、16年にはWBO世界ライトフライ級王座に挑戦も判定負けした。その後は階級を挙げて、2月の最新試合まで15連勝し、2階級制覇を狙っている。通算34勝(24KO)4敗1分。

井岡は「下の階級で世界王者の実績がある。決して油断できない」としつつも「ボクにはメリットのない、望んでいない試合。次へ進む試合。レベルの違いを見せて勝つだけ」と言い切った。