日本フェザー級王者丸田陽七太(ひなた、24=森岡)の初防衛戦が3日、発表された。11月27日に東京・後楽園ホールで同級8位の日野僚(30=川崎新田)と対戦する。丸田はジムの森岡和則会長とともにオンラインで会見に臨んだ。

68年メキシコ五輪バンタム級で銅メダルを獲得した森岡栄治氏が創設したジム期待のホープが、世界への試金石に挑む。丸田は今年2月、王者佐川遼(三迫)を7回TKOで沈め、ベルトを手にした。新型コロナウイルスの影響もあり、約8カ月空いての初防衛戦となるが、「(空いた)期間が長いという心配はない。より準備できるし、ちょうどいい期間」と自信を示した。

6歳からボクシングを始め、銅メダリストの指導を受けた。「天才少年」と言われ、関大北陽高在学中の15年11月にプロデビュー。3戦目にWBC世界バンタム級ユース王座を獲得した。伸び悩んだ時期もありながら今年、才能が結果に結びついてきた。

丸田は結果が出なかった時期を振り返り、「8オンス(のグローブ)を警戒しすぎて、触らせないボクシングをしようと。距離やガードを固めることばかり意識していた」。18年8月にフィリピンでの試合を引き分けて危機感がわき上がった。「何か変えないといけない。打たれても倍打ち返せばいい、と。そこからいい勝負ができるようになった」という。

その課程には森岡和則会長との“衝突”もあったという。「子どものころはリングに上がったら野獣になった。それが闘争心が見えないボクシングになってしまう」と思った会長は「今より中学生の陽七太の方が強かった」と発言。反発を見せた丸田と「あまりいい空気ではなかった」と会長。時間をかけて話し合い、発言の真意を伝えて再び前に歩み始めた。

挑戦者は長身のサウスポーで「独特のやりにくさがある」と言い、対戦が決まってからサウスポー対策に取り組んでいる。その先にある「世界」に向けて負けられない戦い。現在、WBC、IBFのフェザー級で7位にランクされる。来年の展望も「世界挑戦が決まれば、そっちに行きたい」とキッパリ言った。可能性、そして楽しみが大きく膨らむ一戦に挑む。【実藤健一】

◆丸田陽七太(まるた・ひなた)1997年(平9)4月18日、兵庫・川西市生まれ。6歳でボクシングを始め、メキシコ五輪銅メダルの故森岡栄治氏から指導を受ける。関大北陽高ではインターハイ2年連続準優勝。在学中にプロデビュー。戦績は11勝(9KO)1分け1敗。唯一の黒星は17年10月、東洋太平洋スーパーバンタム級タイトル挑戦失敗。身長180センチの右ボクサーファイター。