「忍者レスラー」が総合格闘家として1勝を刻んだ。青森・五戸町出身で16年リオデジャネイロ五輪のレスリング銀メダリスト、太田忍(27=パラエストラ柏)がK-1元ウエルター級王者の久保優太(33)を判定3-0で撃破。「今回が僕のオリンピック」と臨んだプロ2戦目で、待望の初勝利をつかんだ。

太田が勝ち名乗りを受けた。東京五輪閉幕から1カ月。「総合格闘技の祭典」で終始圧倒した。「安心した気持ちと決められなかった悔しさ、練習したことを半分ぐらいしか出せなかった、いろんな気持ちが入り交じっている」。1回、ゴングが鳴った直後に前蹴り、パンチを浴びたが、約10秒後にテークダウン。グラウンドからのパウンドで久保を削ると、終盤にけさ固めで一本を狙った。2、3回にもパウンドを軸に寝技で攻勢。一本勝ちはならずも、相手を完封した。

リオ五輪では12年ロンドン五輪の金、銀メダリストを相次ぎ破り、銀メダルを獲得した。その素早い動きに海外勢からは「忍者」と恐れられ、東京五輪では金メダルに照準。しかし、出場はかなわなかった。昨年、総合格闘家に転向し、同年大みそかにデビューも、2回一本負け。それから8カ月後に初勝利を挙げた。

この試合はフェザー級(66キロ以下)契約だったが、あくまでも主戦場はバンタム級(61キロ以下)だ。格闘技漬けの日々を送り、国内バンタム級のトップに食い込み、世界に挑む。「始めたばかりで『何を言っているんだ』と思われるかもしれないが、世界最高峰UFCのベルトを念頭に頑張りたい」。最強を意味する米国メジャー団体の「金メダル」獲得へ、総合格闘技を極めていく。【山田愛斗】