K-1ウエルター級王座決定トーナメントは、優勝候補の野杁(のいり)正明(28=K-1ジムSAGAMI-ONO KREST)が3戦連続KO勝ちで制した。

大会3週間前に左ふくらはぎの筋断裂に見舞われながらも勝ち上がり、決勝はライバル安保瑠輝也との元スーパーライト級王者対決を迎えた。左右のローキック、ボディーで安保の体力を削ると、最終3回に計3度のダウンを奪い、同回2分51秒、KO勝利で、2階級制覇を成し遂げた。

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獲物を狙う冷徹な目で、野杁が安保を追い詰めた。左右のボディーとローキックで相手の体力を削った。3回、コーナーに追い詰めて左ボディーでダウンを奪うと「とどめを刺す」と勝負に出た。左ミドルキックで右脇腹をえぐり、さらに2度のダウンを追加。3連続KO勝ちで、2階級制覇を成し遂げた。V候補筆頭と言われる重圧を打ち破り「有言実行できたのが本当に良かった」と笑顔。夫人、子供2人を呼び込み、リングで記念撮影した。

大会3週間前、左ふくらはぎの筋断裂を負い、歩けなくなった。「治らなくても絶対に出る」と懸命のリハビリを続け、「奇跡的に回復した」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。コロナ禍で海外の強豪を呼べない中でのトーナメント開催だったこともあり「海外勢が呼べるようになったらベルトを懸けて戦いたい」と新王者として宣言した。【藤中栄二】