中東の「借り」は中東で返す-。WWEユニバーサル王者ローマン・レインズ(36)が22日のPPVクラウン・ジュエル大会(サウジアラビア)で元王者の「野獣」ブロック・レスナー(44)との防衛戦に臨む。サウジアラビアでは18年4月のPPVグレーテスト・ロイヤルランブル大会で、挑戦者として王者レスナーとのスチールケージ(金網)形式ユニバーサル王座戦に臨み、微妙な判定で敗れた。このほどインタビューに応じ、3年前のサウジでの敗戦を「汚点」と表現し、野獣撃破への意識を高めた。

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レスナーとの中東決戦は約3年ぶりとなる。当時はレインズがスピアーで金網ごとレスナーを突き破ったが、王者の背中が先にリング外についたとし王座防衛が成立。後日、レインズの足が先についたとレフェリーが誤審を謝罪。微妙な判定で王座奪取を逃した。

レインズ あの夜、俺は勝利を奪われたような気分だった。スチールケージの檻(おり)から抜け出すことが目的で、俺は勝つためにすべての手を尽くした。もしポール・ヘイマンが俺のコーナーにいてテープを見直すことになっていたら、リプレー結果をよく見ることができたはずだ。この出来事は二度と勝利を奪われないようにするため、ヘイマンのような男と協力するようになった理由だ。サウジアラビアでスチールケージを突き破るスピアーをレスナーにたたき込んだのに、俺が王座奪取できなかったのはWWEの歴史において汚点の1つだと思う。それにもかかわらず、その衝撃的な結末は観客に受け入れられたが、それは俺とレスナーが作り出すことができる1つの瞬間にすぎない。破壊、身体能力、強度、そしてエネルギーレベル、最高峰の2人が対峙(たいじ)することで人々を興奮させることができる。

中東での再戦は王者、挑戦者の立場が逆転している。レスナーとの関係性、ファンから期待されることも変わる自覚は十分にある。レインズ 最も明白なことは2人の立場がどう逆転したか、そしてそれがどれだけダイナミックに180度シフトしたかということだ。ポール・ヘイマンとの関係性などそれぞれの個性がどこにあって、どこに向かっているのか。俺とレスナーに関してはすべての状況が変わった。過去のタイトル保持において、レスナーはおそらく最も権威のあるユニバーサル王者だった。しかし、それは俺が過去1年半で達成できたことと比較すると見劣りする。フルタイムのスーパースターとして毎週のスマックダウンで、そして4大大会からすべての主要なPPV大会、時には毎月、そして時にはそれ以上に王座防衛したことは俺たち2人の立場に大きな違いをもたらした。多くのことが変わったが、変わっていないことの1つは俺たちの身体能力。数年前のレスナーは俺に対してうまく対応していたが、最近は俺の方が多くの点で優勢だ。

前回対決で敵コーナーにいたレスナーの元代理人ポール・ヘイマンは現在、スポークスマンとしてレインズをサポート。名参謀役として働いている。

レインズ ヘイマンはとても幅広いスキルを持っており、彼は詳細の確認など舞台裏で大いに活躍する。人々は彼がスーパースターのために行っていることを垣間見ることができないが、それは現在は俺にあってレスナーには欠けているものだ。そのおかげでたくさんの責任やタスクをもはや心配をする必要はなく、俺が集中しなければならないのは対戦プランだけ。カーテンから出てユニバーサル王座をどうやって防衛するか。ヘイマンが他のすべてをカバーしてくれる。俺はただ登場してリングアナウンサーが試合の終わりに「防衛」と言っていることを確認するだけだが、レスナーはもはや同じ状況になく、すべてが彼にのしかかることになる。

今年7月から米国、英国でのツアーが再開。オンライン応援だったサンダードームでの興行から大勢の観客の前でファイトしていることもレインズの気持ちを高揚させているようだ。

レインズ サンダードームとライブでファンがいるWWEを比較すると、そこには大きな違いがある。俺たちは状況に応じて最善を尽くしてファンに最高の体験を提供し続けるが、ライブの観客の前にいることほど素晴らしいことはない。誰もいないところで試合をするのはつまらないんだ。それは俺たちが対応しなければならなかったことだが、それは辛くて気分が良くないものだった。ソールドアウトのアリーナや興奮した人々で満員のスタジアムではそのエネルギーとポジティブな雰囲気でスーパーマンにでもなった気持ちになる。例えば食中毒で気分が悪い中で入場曲が流れ出し、入場口のカーテンにたどり着くまでもがいていたとしても、そこを通り抜けて観客の生の反応を感じるとすべての苦痛は消え去るんだ。腕を骨折しているとしても、観客の前に出れば問題なくパフォーマンスができるように感じるだろう。それがライブの観客がもたらすエネルギーと興奮であり、サウジアラビアも例外ではない。俺たちは年に数回行くだけで前回からパンデミックにより時間もたっているから、そこで観客の興奮したものすごいエネルギーがあることを期待している。

10月上旬、スマックダウン、ロウの選手入れ替えを敢行するWWEドラフトが開催。昨年、WWEヘビー級王者として活躍したドリュー・マッキンタイアがロウからスマックダウン移籍した。選手がシャッフルされたものの、「ブラッドライン」のレインズはまったく動じていない。

レインズ 一族の長である俺は特にレスナーのようなヤツが現れるととても忙しい立場になる。常にターゲットにされていて、これはユニバーサル王者であるだけでなくWWEの顔だからだ。多くの人がトップのスーパースターたちについて話をしているが、もしトップスーパースターたちを集めて誰がトップかと尋ねればそれは俺になるだろう。俺は山の頂上の旗みたいなもので自分のことに集中してそれをやり続け、他のすべてのスーパースターをリードしていかなくてはならない。俺はヘイマンとレスナーの間でいろいろ混乱が起こってWWEドラフトに対して十分な時間を取って結果を見ることができなかったが、特にパンデミックの間に勢いを増したビッグスターでロウを長くリードしてきた誰もが注目すべき男はドリュー・マッキンタイアだ。フィジカルや経験、所属期間、称賛をこれだけすばやく積み上げてスマックダウンに移籍したヤツはいない。彼はタイトルに飢えているし、みんながトップと呼べるスーパースターの1人だが、実際はトップではなくその状況に苦しんでいるだろう。彼が2番でいることが好きでないと知っているが、それが現実なんだと彼に言ったことがある。彼や他のスーパースターは俺が健康で息をし続ける限り、2番のために戦うことになる。(おわり)