ボクシング元WBC世界バンタム級暫定王者井上拓真(25=大橋)が1階級上げて世界前哨戦に臨む。11日、東京・後楽園ホールで開催されるフェニックスバトル大会(日刊スポーツ新聞社後援)で元東洋太平洋スーパーバンタム級王者和気慎吾(34=FLARE山上)とのWBOアジア・パシフィック同級王座決定戦を控え、2日に横浜市の所属ジムで最終調整。井上は「やっぱり世界しか見ていないので。相手が誰かというより、ここで負けていられない。いつもそういう気持ち」と集中力を研ぎ澄ませた。

今年1月、東洋太平洋バンタム級王者栗原慶太に9回負傷判定勝利を収めて以来約10カ月ぶりのリングだが「別に気にしていない」と涼しい表情。和気とは19年秋にスパーリングしており「イメージは作ることはできている。背は高いですけれど、そこまでやりずらさはなかった。いつも通り何もさせないで勝つ、という展開に持っていきたい」と口調を強めた。

WBAスーパー、IBF世界バンタム級王者の兄尚弥に「追いつきたい」と口にした井上は「ナオ(兄尚弥)がどう動きかはわからないですが、やっぱり兄弟で世界王者というのは目指していきたい」と決意も新た。世界ランカーの和気に勝てば、スーパーバンタム級の世界ランクも手に入る見込みで「適性はバンタム級だと思っていますが、チャンスがあれば(1階級上も)という感じ」。世界挑戦の選択肢を増やす意味でも重要な王座戦となる。

所属ジムの大橋秀行会長(56)は「拓真は今、大橋ジムでピカイチです。スパーリングを見ても、1番伸びている。兄とは違うボクシングを確立しているし、機動力、スピードが武器になる。和気戦が楽しみ」と大きな期待を寄せていた。