ボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が12月14日に東京・両国国技館で臨むIBF同級5位アラン・ディパエン(30=タイ)との防衛戦(日刊スポーツ新聞社後援)が、ひかりTVとABEMAのPPV(ペイ・パー・ビュー=有料)で生配信されることが18日、発表された。井上の国内世界戦の地上波生中継なしは初めて。同日、都内で会見した井上は来年中の4団体統一を見据え、同時期に防衛戦を控える対抗王者2人や視聴するファンにアピールする快勝劇を約束した。

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来年中の4団体統一に照準を合わせる井上が、対抗王者2人に強烈なメッセージを送った。会見で流れたPR動画では「リードパンチで倒す」と発言。主に決定打を放つ前のジャブなどのパンチだが、12月11日にWBC王者ノニト・ドネア(39)が米カーソンで、WBO王者ジョンリール・カシメロ(32=ともにフィリピン)もUAEで防衛戦を控えることをあげながら、その真意を明かした。

「3日前(に防衛戦をする)ドネア、カシメロにアピールするためにも、リードパンチで倒してしまえるぐらいの実力差をみせて勝たなくてはいけない」

来春には国内で、どちらかの王者との3団体統一戦が計画されている。両王者が防衛することが前提となるが「その2試合(ドネア戦、カシメロ戦)を戦わないと、気持ち良くスーパーバンタム級に上がれない。心残りの試合をしっかりクリアしたい」と強調。さらに「勝って当たり前の試合は今回だけではない。ファンが想像する、予想をはるかに超える勝ち方をしたい」と自ら高いハードルを設定した。

井上にとって国内世界戦で初のPPV生配信となる。既にABEMAでは100万人が視聴可能な体制が敷かれた。大橋会長も「井上という存在だけに、視聴者数も注目される」と期待。井上は「PPVは米国では主流。時代も変わってボクシングならPPVというふうになると思う。この1発目を成功させたい」と言葉に力を込めた。対抗王者2人やファンらに衝撃を与えるPPVファイトを約束していた。【藤中栄二】