18年大会以来NJC2度目の頂点を虎視眈々(たんたん)とうかがうザック・セイバーJr(34)が、21日の準々決勝で昨年度の覇者オスプレイを下した勢いそのままに、前IWGP世界ヘビー級王者の鷹木信悟(39)を撃破した。

1回戦から全ての試合でタップアウトを奪ってきたサブミッションの名手が、この日も火を噴いた。コブラツイストや三角締めなど、状況に応じたバリエーション豊かな関節技を披露。鷹木のパワーの前に屈しかける場面もあったが、何度も逆境をはねのけた。

極め付きはラスト。相手の体に巻きついた状態から強引に持ち上げられ、セカンドロープからたたき落とされても、意地でも首から腕を離そうとしなかった。そのまま渾身(こんしん)のスリーパーホールドで締め上げて鷹木の力を奪い取ると、19分24秒、レフェリーがストップ。4年ぶりの決勝チケットをつかみ取った。

セイバーJrは、勝ち名乗りを受けてからも苦しい表情を変えず、コーナーにもたれかかった。それでも、昨年11月の大阪大会IWGP世界ヘビー級選手権試合では、あと1歩が届かなかった相手。残る力をふり絞って「わー!」と喜びを爆発させるように絶叫した。

バックステージでは「勝ったとはいえ、今日は間違いなく人生で一番きつい試合だった」と振り返り、「準決勝と決勝が2日連続なんて誰が考えたんだ?」と恨み節も漏らした。それでも「俺のNJC優勝は止められない。たとえ俺がヘルニアだったとしてもこのトーナメントの優勝は阻止できない」と豪語。技術に、さらなる自身を加えたセイバーJrに恐れるものはない。