「カネロ」の愛称で人気の高いプロボクシング4団体統一スーパーミドル級王者サウル・アルバレス(31=メキシコ)が8年8カ月ぶりに黒星を喫した。無敗のWBA世界ライトヘビー級スーパー王者ドミトリー・ビボル(31=ロシア)に挑み、0-3(113-115×3)の判定負け。13年9月、フロイド・メイウェザー(米国)に判定負けして以来の黒星となった。

アルバレスは落胆の表情を浮かべながら「これがボクシングだ。彼は本当に良いファイター。距離をうまく使い、ジャブも良かった。彼の力も感じた。言い訳はしない。素晴らしいファイターだ」と完敗を認めた。ライトヘビー級は19年11月、当時のWBO王者セルゲイ・コバレフ(ロシア)を11回TKO撃破して以来の挑戦だったが、アマチュア経験豊富な無敗王者ビボルの壁は厚かった。

契約上ではビボルとの再戦条項が含まれている。アルバレスはちゅうちょすることなく「はい、もちろんまた対戦したい。これは私の最高の状態ではなかった」とリマッチを希望した。足を使った王者ビボルを追い詰めるほどの追い足もなく、スーパーミドル級でみせるほどの速さと上半身の反射神経はみられなかった。

これまで米老舗専門誌ザ・リングのパウンド・フォー・パウンド(PFP=階級超越した最強ボクサー)ランキングで1位に君臨。次戦にはWBAスーパー、IBF世界ミドル級王者ゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)との3度目対決が9月17日に計画されていたアルバレス。スーパーミドル級王座は保持したままだが、世界ボクシング界の人気を独り占めしてきた勢いは止まった。

◆カネロ アルバレスのニックネームで、スペイン語でシナモンの意味。赤毛から由来している。