ピンチヒッターとして登場した新日本プロレスの棚橋弘至(45)が、師匠の50周年大会に勝利で花を添えた。

「藤波辰爾デビュー50周年記念試合」と銘打って行われたメインイベントの6人タッグマッチに、新型コロナ感染の影響で今大会を欠場した藤波の代役として登場。永田裕志(54)越中詩郎(63)と組み、鷹木信悟(39)高橋ヒロム(32)長井満也(53)組と対戦した。長井に掟破りのドラゴンスクリューを決められるなど、厳しい展開。だが、試合に乱入した藤波のへルプもあり、最後は15分59秒。長井からハイフライフローを決めて勝利を収めた。

負けられない理由があった。今月3日、藤波の欠場を受けて急きょ出場が決まった。ドラゴンからは、この日の大会前に「新日本プロレスの中でいちばん期待を込めている棚橋君が僕の代わりに立ってくれる。胸がこみ上げる思いがしました」と、直々の激励を受けていた。

勝利を収めたバックステージでは感極まった。「藤波さんのピンチを救えたことは、棚橋弘至のレスラー人生も成就したと言えると思います。こんな名誉なことはない。ただ憧れていた藤波さんを救えて、こんないい人生はないよね」。数々のタイトルを手にしてきた男が、目を赤らめながら満面の笑みを浮かべた。

藤波からの「何度もタッグで戦ってきたけど、久々にシングルをやりたくなった。12月、久々にやるかな」との要求にも、即答で承諾。「勝手ですけど気持ちは受け取りました」と、がっちりと握手を交わした。50周年を超えても2人の絆は続いていく。